2005年2月25日(金)「しんぶん赤旗」 ミサイル防衛カナダが参加拒否へ米圧力に国民多数が反対【ワシントン=浜谷浩司】カナダ政府は米国の進める「本土ミサイル防衛」への参加を拒否する方針であることが、二十三日までに明らかになりました。ブッシュ米政権が受け入れを迫って圧力を加えてきたにもかかわらず、多数の国民の反対が政府を動かしたもの。イラク戦争不参加に次いで、米国と国境を接する同盟国カナダの国民は軍事優先の米国に強い批判を示しています。 カナダからの報道によると、マーティン首相は米国とのミサイル防衛に関する協定に調印しないと決断、近く発表する見通しです。決定は、ブリュッセルで二十二日に行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の際に、非公式に米側に伝達されたとの情報もあります。 米国務省のバウチャー報道官は二十三日、これはカナダが決める問題であり、決定を待っていると述べました。しかし、セルーシ駐カナダ米大使は、不参加決定はカナダの利益にならないと非難したうえで、米国は計画を推進すると語ったと伝えられます。 カナダ紙トロント・スター(十二日付)の世論調査によると、米主導のミサイル防衛への参加に「反対」は54%で、昨年十月から1ポイント上昇。賛成は34%で3ポイント低下しました。 同紙は、ミサイル防衛に参加することは、与党にとって次の選挙での敗北という「大きな政治的対価を支払うリスク」になると警告しました。 世論調査をしたEKOSリサーチのグレーブス氏は同紙に対し、反対が一段と強まっていると指摘。「ブッシュ政権への信頼が急速に失われている」反映だとの見方を示しています。 ブッシュ大統領はカナダに対してミサイル防衛への参加を公然と要求し、マーティン政権にとって頭痛の種となってきました。 同大統領は、昨年十一月にカナダを訪問した際、対立を避けるため公然とは持ち出さなかったものの、この問題で沈黙している野党・保守党のハーパー党首をなじったと報じられました。 米国のミサイル防衛にとって、北朝鮮や中国からのミサイルの通過コースにあたると想定されるカナダは、軍事的に極めて重要な位置を占めます。両国は、米コロラド州にある北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)のもとで早期警戒態勢を維持。昨年八月には「ミサイル防衛支援」を明記したNORAD協定の改定に合意しています。 |