2005年2月25日(金)「しんぶん赤旗」 「食料・農業・農村基本計画」見直し案何を示す「食の安心」削除政策ゆがめる特定業界の利害農政の指針となる「食料・農業・農村基本計画」。その見直し案から政策の中心であった「食の安心」という文言が削除された背後に、特定の業界の意向があったことを、二十四日の衆院農水委員会で、日本共産党の高橋千鶴子議員が追及しました。 業界団体代表が
「食料・農業・農村基本計画」は五年ごとに見直されます。今年三月末には「見直し計画」としてまとめられる予定。 見直しに向けた審議会のメンバーには農民、消費者、学者などに加えて日本経団連や食品関連業界団体の代表も名を連ねています。 高橋議員が指摘したのは、日本フードサービス協会会長で日本経団連理事でもある横川竟氏の発言です。 横川氏は昨年三月に、「まずお願いしたいことは、資料の中の『安全と安心』という言葉がいつも一緒に使われているので、『安心』は削って、『安全』だけにしていただきたい」「『安心』という言葉には数値などの基準がない…非常に不明確」と発言。「安全という言葉も多用され過ぎている」と問題にしました。 「食の安全」問題が集中的に論議された昨年十月にも、「安心というのはわれわれが議論をするべきではなくて、消費者が感じることです。ですから、この会でやるべきことは何が安全で何が危険かを明確にすることではないか」とのべています。 同氏は、BSE(牛海綿状脳症)問題に関して、「全頭検査は必要との指摘もあるが、安心の基準は人によって異なり一様でないことも考えないといけない」(昨年三月一日付西日本新聞でのインタビュー)と米国産牛肉の輸入解禁を主張してきた人物でもあります。 こうした一連の言動が、「安心」削除という「方針の変更」に少なからず影響を与えたことは明白です。 消費者に軸足を審議会などを通して、財界や業界団体などの意を受けて国の政策がねじ曲げられた例は、労働法制の改悪など枚挙にいとまがありません。 国民の命にもかかわる農業と食の基本方針が財界や特定の利害のために変更されることは許されません。農水省は、BSE問題の苦い教訓からつらぬいてきた「安全・安心」を中心とした原点に立ち、消費者に軸足を置いた対応をとるべきです。 (矢守一英) |