2005年2月25日(金)「しんぶん赤旗」

主張

たばこ規制条約発効

けむりを減らす一歩にしよう


 世界の国々が力をあわせて、喫煙を減らし、受動喫煙を防止する時代がやってきました。国連の「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約」(たばこ規制枠組み条約)が二十七日発効します。

公共の場での禁煙進む

 条約は、喫煙と受動喫煙が健康に及ぼす悪影響から「現在と将来の世代を保護する」ことを目的にしています。

 日本は昨年六月に条約を批准しており、発効を受けて、条約に基づく措置が義務付けられます。

 喫煙と受動喫煙の有害性は、世界でも日本でも確認されています。個人の嗜(し)好(こう)の問題にとどめず、社会問題としてたばこの害から健康を守る世論と運動が広がっています。条約の発効は、この流れをさらに促進するものであり、歓迎します。

 条約は、「屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所等」での、「たばこの煙にさらされることからの保護」のための措置を求めています。二〇〇三年五月に施行された健康増進法第二五条の受動喫煙の防止規定を受けて、公共の場所を中心にし、全面禁煙と分煙が進んでいます。学校では、屋内のみならず、敷地内を全面禁煙にする自治体も少なくありません。これを第一歩として、受動喫煙を防止するための声をあげていきましょう。

 条約は、健康を守るために、たばこの消費そのものの「減少」をかかげています。減少させるためには、喫煙している人々をはじめすべての国民に、たばこの害がもたらす「健康への影響、習慣性及び死亡の脅威について知らされるべき」だとしています。

 EU(欧州連合)ではたばこ製品の警告表示に、ぼろぼろになった肺の写真を使うなど、たばこの消費を減らすための工夫を行っています。日本でも、喫煙をあおるような広告を制限し、たばこの害を警告する表示を強めるなど、たばこの減少にむけたとりくみを進める必要があります。

 たばこの自動販売機が野放しにされていることも問題です。とくに、中高生の喫煙の多くが自動販売機でたばこを手に入れており、法律で禁止されている未成年の喫煙を逆に助長しています。

 条約は、政府に、未成年へのたばこの販売を禁止する効果的な措置を義務付けています。自動販売機で未成年がたばこを買えないように規制すべきです。

 たばこはいったん吸い始めるとなかなかやめられないという習慣性があります。肺の成長期である青少年期に喫煙を開始した場合、呼吸機能の正常な成長が抑制され、その影響は成人期まで持ち越されます。子どもをはじめ未成年者に「煙のない環境」をつくるのは、健康を守る上で優先されなければなりません。子どもはおとなの背中をみて育ちます。手本となりたいものです。

喫煙率五割から三割に

 たばこをめぐる環境は、日本でも徐々に変化しています。喫煙率もまだまだ欧米各国と比べて高いとはいえ、三十年前までは約五割(男女計)だったのが、いまは三割を下回っています。新幹線なども禁煙車から埋まるようになっています。できれば“卒煙”したいという人も少なくありません。条約は、教育機関、保健施設、職場、スポーツのための場所での「たばこの使用の中止」を促進することも励ましています。

 たばこの害から健康を守るとりくみを、条約の発効を契機にいっそうすすめていきましょう。



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