2005年2月22日(火)「しんぶん赤旗」

中小企業/流通

納入業者いじめ

大型店の優越的立場乱用

公取委が規制を強化・充実へ


 仕入れた商品を返す、セールだからと納入価格の引き下げを要請、協力と称して金を出させる――スーパー、百貨店、大型ディスカウント店など大型店の納入業者いじめが相変わらず横行しています。公正取引委員会は、大型店の不公正取引を取り締まる規定を充実・強化する方針です。

グラフ

 独占禁止法は、大企業が優越的立場を乱用して取引先に不公正を押し付けることを禁じています。大手小売業では大型店の納入業者にたいする不公正な取引として、「返品」(いったん仕入れた商品を小売業側の都合で返す)や「従業員派遣」(小売業側の仕事のために納入業者から人を出させる)、「協賛金の要請」(小売業に協力を求めるとしていろいろな名目で不当に金銭を徴収する)などが禁じられています。

 ところが、公正取引委員会(公取委)が今月発表した「大規模小売業者と納入業者との取引に関する実態調査報告」には、大型店(大規模小売業者)の不公正取引が横行している実態が示されています。

不当な返品や価格たたきも

 調査では、納入業者に責任がないにもかかわらず、大型店が優越的地位を利用して返品する「不当な返品」が調査回答納入業者の半数(50・4%)にものぼりました。

 実際には、大型店の店舗改装のために不要になったための返品や、売り場で汚損・き損した商品の返品、なかには、大型店の月末の在庫調整が目的と思われる返品などもあり、大型店の横暴さがうかがわれます。

 違法な低価格要請では、「小売業者のセールのため」が値引き要請を受けた業者の65%をしめました。特売、創業祭でも納入価格は引き下げされています。

協賛金の提供要請は43%に

 調査では「不当な従業員派遣」の要請を受けた納入業者は37・4%。大型店の棚卸し、棚替え、社内事務など、本来、大型店の従業員がやるべき仕事を強制されています。

 商品を“売ってやる”からとの意識でおこなわれる不当な「協賛金の提供」要請は回答業者の43・4%。「創業祭」や「売り場改装」「広告のため」などを名目にし、実際には納入商品の販売促進には寄与しないものが多く、なかには、大型店の「決算」内容を良くするためという横暴きわまるものもあります。

 公取委は、大規模小売業界で違反が目立つこれらの行為のうち、現行百貨店告示にない禁止事項を追加する方向で、「新告示」を早急に策定するとしています。

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員も、この問題を昨年十二月の経済産業委員会でとりあげ「ぜひ実態にかみあった制定を」と求めています。

是正の流れ強く

 八十五の食品製造関係団体、百七十の企業などで構成する財団法人・食品産業センターの門間弘企画調査部長の話 食品流通における納入業者の取引実態は、非常に厳しい状態です。調査で指摘されたような不公正な取引が依然として認められますが、個別取引においては、納入業者から小売業者にはなかなか指摘しにくいのが実情です。最近、公正取引委員会が不公正な取引行為にたいする指導を強化していることを歓迎します。百貨店告示の改定をしっかり、実態にあったものにし、不公正取引が是正される流れが強まることを期待します。


不公正な取引方法

 独占禁止法で禁止されている行為の一つ。具体的な行為は公正取引委員会が指定し、全業種に適用される一般指定と個別業種に向けた特殊指定があります。大型店と納入業者との取引は「百貨店業告示」(「百貨店業における特定の不公正な取引方法」)として特殊指定されています。同告示は、大型店の優越的地位の乱用として、返品や従業員派遣を禁止。一般指定では協賛金の要請や物品・サービスの購入強制などが禁止されています。


公取委が摘発した違反「事件」実例

〔1〕セール用として、青果物仲卸業者にたいし、同者の仕入れ価格を下回る低価格で納入を指示

小売業者 スーパー・ユニー

違反行為 不当な低価格納入要請措置 勧告 2004年12月

〔2〕決算で粗利益を確保するために、納入業者に金銭を提供させた

小売業者 ホームセンター・コーナン

違反行為 協賛金等の負担要請措置 勧告 04年11月



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