2005年2月22日(火)「しんぶん赤旗」

主張

2プラス2協議

危険な世界に踏みだす安保


 日米両政府は、ワシントンで日米安全保障協議委員会(2プラス2 日本=町村外相、大野防衛庁長官 米国=ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官)を開き、アジアと世界で日米が共同対処する「共通戦略目標」を定め、米軍事態勢再編の具体的推進などをもりこんだ共同発表を出しました。今秋予定の日米首脳による新たな安保共同宣言に向けた中間合意の性格をもちます。

 発表文は、日米関係を世界的規模の軍事同盟に変えるもので、これこそ日本の平和と安全を脅かすくわだてです。

自衛隊の海外派兵

 共同発表は、「日米同盟関係が…地域及び世界の平和と安定を高める上で死活的に重要な役割を果たし続けることを認識し、この協力関係を拡大する」とのべました。小泉首相はこの会談に先立って、今国会の施政方針演説で、「日米同盟は、…世界の平和と安定の礎」とのべていました。「協力を拡大する」というのは、イラク派兵のように、「国際テロ」や「大量破壊兵器」を口実にしたブッシュ政権の先制攻撃戦争に、世界のどこであれ自衛隊を参加させていくということです。また、米軍が日本を足場にして、世界のどこにでも自由出撃していくことを認め、それを支援することです。

 日米安保条約を世界的規模の軍事同盟に変え、自衛隊が世界の安全保障に関与し、海外派兵を態勢化することは明白な憲法違反です。自民党政府が、安保条約は無限定でなく「一般に『極東』と呼称されている範囲にとどまる」(一九六〇年七月外務省「新しい日米間の相互協力・安全保障条約」)とくりかえし示してきた見解にも反しています。

 共同発表はまた、小泉政権のアメリカいいなりの姿勢をしめしています。九年前、橋本・クリントン両首脳が発表した、日米安保をアジア太平洋規模に拡大した「日米安全保障共同宣言」は、「二十一世紀に向けての同盟」の副題のように、二十一世紀を見据えたものだったはずです。それなのに、ブッシュ政権からいわれるままに、こんどは世界的規模への拡大をはかるというのです。

 アジアの平和にとっても、この共同発表は重大です。「アジア太平洋地域」でも国際テロや大量破壊兵器の「脅威が発生しつつある」「地域における軍事力の近代化にも注意を払う必要がある」とのべています。名指しこそさけているものの、北朝鮮や中国のことです。そのうえで、「中国が軍事分野における透明性を高めるよう促す」というのですから、事実上の中国敵視と見られても仕方がありません。地域での共通戦略目標のなかで、「中国が地域及び世界において責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎し」とか「中国との協力関係を発展させる」などといいながら、中国の一省である「台湾」に言及するなどは、緊張をつよめるおそれがあります。

 日米両政府は、アジアの平和の流れに水をさし、軍事的緊張をもちこむことをやめるべきです。

憲法九条の堅持で

 共同発表にもとづいて、自衛隊の役割分担や基地の共同使用の検討が加速されます。海外派兵の「本来任務」化などもあります。しかし、ブッシュ政権の先制攻撃戦争を推進するための具体化は、憲法が絶対に許さないものです。しかも、アジアでは、憲法が理念とする戦争のない、平和の地域づくりがはじまっています。憲法九条擁護とアジアの平和実現とをむすびつけて、日米両政府のくわだてに反対しましょう。



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