2005年2月21日(月)「しんぶん赤旗」

“いやがらせに負けない”

裏金告発の現職巡査部長

現場は苦しんでいる

涙流し帳簿燃やす課長みた

愛媛県警


 愛媛県警の現職巡査部長、仙波敏郎さん(56)が警察の裏金づくりを告発し、“報復人事”を受けたことでいま、あらためて警察の体質が問われています。いやがらせが続くなか、仙波巡査部長は支援集会でも「私は辞めない」と激励にこたえ、裏金づくりをめぐる新事実も語りました。発言からいまの思いを紹介すると…。


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提訴後、記者会見する仙波巡査部長=10日、松山市

 仙波さんは十六日に松山市でおこなわれた「仙波さんを支える会」の報告集会に出席し、最近の状況を話しました。

 「これほど激励の手紙、電話をいただくとは夢にも思っていなかった」という仙波さん。八十歳を過ぎた母親からも毎日「生きているか」と電話をもらい、最近の誕生日には、子どもたちから励ましのネクタイをもらったといいます。

松山城を見て

 告発後の一月二十七日付で、県警地域課鉄道警察隊から通信指令室に異動を命じられました。いまは「電話もない、仕事もない。朝八時半から一日、松山城をじっと見ている」という“勤務”をしいられています。

 「仕事の話をするものは誰もいない。普通の警察官ならもたん。神経がもたん」生活。聞こえよがしに、「どこから給料もらっとんか」などといわれることもある、といいます。「しびれを切らして辞めていくのを待っている」と実感する日々ですが、「どんなことがあっても辞めるな」「どんなことがあっても自死するな」と周囲から励まされています。

 仙波さんは二十四歳で巡査部長試験に通りました。その直後、会計課長から三人の住所と名前が書いた紙を渡され、偽造領収書を書くようにいわれました。「組織のためだ」というのが理由。拒否する仙波さんに署長はいいました。「君は組織の敵か、味方か。交際費がないじゃないか。だから、どうしてもお金がいるんだ。どうしても書け」

成績優秀でも

 仙波さんは偽造領収書を書くことを拒み続け、成績優秀でも昇任できませんでした。三十歳前に「一生巡査部長でいい」と心に決めました。「私は三十二年間、巡査部長。全国で一番長い。退職まであと四年で、この記録は絶対に破れない。私の誇りです」。

 集会で仙波さんが語る裏金づくりの実例はあとからあとから出てきます。

 ――南予のある警察署の会計課長が定年で辞める時に、涙を流しながら、署長にいわれてつくった裏金の帳簿を燃やしていた。私はそれをみた。その警察署で一年間に捜査協力費だけで千二百万。このうち四百万円は署員の親ぼくの費用に使い、残りの八百万は署長が全額持って帰った。

 ――大きな事件で捜査本部を設けると、署から本部に費用を請求する。本部は請求金額のだいたい七割くらいを実際におろして、そのなかから本部へバックさせる。すべて裏金だ。それが当たり前。

 仙波さんはこう訴えます。「良識のある現場の人は苦しんでいる。私文書偽造をやって自責の念にかられている。だから今回、裏金づくりの証拠です、という書類もあらたに送られてきた。現場ではなく幹部にものをいってほしい」



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