2005年2月19日(土)「しんぶん赤旗」

憲法9条2項の戦力不保持は現実離れ?


 〈問い〉 憲法9条を守ろうと署名をしていると、よく「1項の戦争放棄は当然だが、2項の戦力不保持は現実離れしている。自衛権を明記し、自衛のための戦力はもてるようにすべきだ」と言われます。共産党は、他党に先駆けて自衛権の存在を主張していたはずだし、当面、自衛隊を活用するとものべています。その立場を憲法に書き込むだけのことと思えますが、それは良くないことなのでしょうか。  (高知・一読者)

 〈答え〉 日本が自衛権を保有していることは、主権国家として当然のことです。日本が侵略を受ければ、自衛隊を含むあらゆる手段で反撃することも、これまた当然です。ですから、自衛権や自衛隊の存在を憲法に書き込むぐらいはいいじゃないかという声が出てくるのは、自然な国民感情でしょう。

 一方、改憲論者も、同じように自衛権や自衛軍の存在を明記せよと主張していますが、そのねらいは別のところにあります。いわゆる集団的自衛権を行使できるようにすることです。

 国連憲章は、成立時の複雑な経緯が影響し、自国を防衛するための個別的自衛権と、自衛とは無縁な集団的自衛権を、同列にあつかっています(憲章第51条)。改憲論者は、自衛権には個別的なものと集団的なものと両方あるのだから、憲法に自衛権を明記するだけで集団的自衛権を行使できるようになると主張しています。

 自民党の中曽根元首相の改憲試案は、「第2項において『戦力』の不保持を規定している結果…(集団的自衛権の)発動が否定されてきた」とのべ、2項を削除するだけでこれを行使できるようになるとしています。

 民主党の鳩山元代表の改憲試案も、「自衛軍」を保持すると明記すれば、「日本が国家の自然権としての個別的、集団的自衛権を保有していることについて議論の余地はなくなる」とのべています。

 別の角度で言えば、憲法に自衛権が明記されておらず、戦力を保持しないと書かれていたことが、戦後の日本で、政府が集団的自衛権の行使に踏み切れなかった最大の要因だということです。

 集団的自衛権は、アメリカのベトナム侵略や旧ソ連のアフガニスタン侵略をはじめ、違法な軍事行動のために使われてきました。日本を違法な戦争に参加させるための9条改訂は許してはなりません。(

 〔2005・2・19(土)〕



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