2005年2月15日(火)「しんぶん赤旗」

西武鉄道 捜査大詰め

証券取引法など違反容疑 堤前会長の関与焦点


 証券取引等監視委員会と連携して、西武(コクド)グループによる有価証券報告書虚偽記載問題を調べている東京地検特捜部の捜査が大詰めを迎えています。ワンマン経営者として、同グループに長年君臨してきた堤義明前会長の関与にまで司法のメスが入るかどうか注目されます。


 東京地検特捜部は今年一月初めから、西武鉄道やコクドの元幹部から任意でいっせいに事情聴取を始めました。このなかには、戸田博之・西武鉄道元社長や、小柳皓正・同前社長、コクド元専務などの幹部が含まれています。

 特捜部が調べているのは、コクドが実質的に所有していた西武鉄道株を個人名義と偽って西武鉄道の有価証券報告書に過少に記載(過少記載)していたことや、コクド幹部の西武株大量売買が証券取引法に違反(インサイダー取引)する疑い。これらの疑惑への堤氏の関与の有無がポイントです。

 これにたいし、堤氏も元大蔵省証券局長の長野厖士(あつし)氏を顧問弁護士に起用、特捜部に影響力を持つ元検察幹部の弁護士に弁護を打診するなど、刑事告発に備えています。最悪でも在宅起訴で免れようとしているようです。

再編の動き

 一方、西武グループの経営のあり方を見直すため設置された「西武グループ経営改革委員会」(委員長=諸井虔太平洋セメント相談役)はコクドを分割、片方を西武鉄道と合併させる中間報告をまとめるなど、グループの再編に向けた動きも進んでいます。

 中間報告の内容はコクドを分割した一方の旧コクドは、資産管理会社とし、もう一方のレジャー事業を行う新コクドは西武鉄道と合併させるというもの。この合併した新会社には、千五百億円から二千億円を増資。資産売却などで、グループ全体で一兆四千億円にも上る有利子負債を一兆円以下にする方針です。

 コクド株の36%を所有する義明氏はこの中間報告にたいし、「体調不良のため二月末まで検討期間がほしい」と態度を保留しています。

消えた写真

 しかし、西武線各駅の駅長室から創業者で実父の堤康次郎の写真が消えたように、グループを支配してきた堤家の影響力は、徐々に排除されています。増資が実現すれば、義明氏の大株主としての支配力はたちまち希薄化します。

 同グループに二千八百億円という巨額を貸し込んでいる、みずほグループは、後藤高志・みずほコーポレート銀行副頭取を西武の特別顧問に送り込みました。すでに後藤氏は西武鉄道の指揮をとっています。後藤氏は早ければ五月にも同社社長に就任し、執行権を明確にし、秋にも新会社を発足させたいとしています。



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