2005年2月15日(火)「しんぶん赤旗」 米原潜 大事故だった海山激突、死傷者は99人米軍当局発表 日本にも寄港当初から詳細隠す
【ワシントン=浜谷浩司】核攻撃の資格を与えられ日本にも寄港している米国の原子力潜水艦「サンフランシスコ」が西太平洋で起こした事故について、米軍当局は十二日、当初発表よりはるかに深刻なものだったことを認めました。 事故は一月八日に同艦がグアム島南方を高速で潜行航行中に海底の山に激突して起きました。横須賀(神奈川県)の米第七艦隊司令部は十二日、この事故について、乗組員百三十七人のうち死者一人、負傷者は九十八人で全体の七割強にのぼり、重傷の二十三人は任務に就ける状態でなかったと発表しました。 また航海にあたって「重要な手順」を守らなかったとして、同艦のムーニー艦長を解任するとともに懲戒処分にしたと発表しました。 米海軍は事故から二十日たった一月末に、船体前部が大破した写真を公表したものの、原因や被害は調査中だとして詳細を明らかにしませんでした。このため原潜事故の危険や事故の真相を極力覆い隠す米軍の秘密体質が問題にされてきました。 米軍当局は今回の発表でも、なお調査中だとして詳細を明らかにしていませんが、今回の発表は、当初真相を覆い隠そうとした米海軍当局が、事故は大規模で深刻なものだったことを公式に認めたものです。 「サンフランシスコ」は、太平洋に配備された約二十五隻の攻撃型原潜のうち、核攻撃の資格を与えられた十隻の「核認証艦」の一隻。米国防総省は一昨年末、原潜に核巡航ミサイルを積み込み長期に前進配備する方針を決定しており、同艦も事故当時に核弾頭付きミサイルを搭載していた可能性もあります。 報道によれば、同艦は事故当時、海面百五十メートル以下を、最高速度に近い時速五十五キロ以上で航行していたとみられ、衝撃で艦体前左部が大きくえぐられました。浮力を調節するバラストタンクが複数破壊され、緊急浮上に困難を生じ、浮上できたのは「幸運だった」(米CBSテレビ)といいます。 |