2005年2月13日(日)「しんぶん赤旗」

視聴者に目向けないNHK

ラグビー中継 右往左往


 二転三転した十二日放映のNHKラグビー中継。結局、放送はされましたが、予定していた生放送を自分たちの都合で、直前に変更した姿勢からは、視聴者を置き去りにしたNHKの体質を感じました。

 今回の問題では、たしかに日本ラグビー協会に落ち度がありました。日比野弘・日本ラグビー協会会長代行も「原因をつくってしまった協会に責任がある」と話しているように、ラグビー協会は、競技場内の看板の業種などについて大会を共催しているNHKとの事前協議を怠っていました。

 しかし、これはラグビー協会とNHKの問題です。今大会はラグビーの日本一を決める大イベント。多くのファンが生放送を楽しみにしていました。それを、前日に急きょ取りやめるというのは、あまりにも乱暴で、視聴者を無視したやり方です。

 NHKによると、この日夕方までに東京の視聴者コールセンターにかかってきた電話は約九百件でした。抗議の電話をした東京都内の男性は、同局とこんなやり取りがあったといいます。

 最初、NHKの担当者はラグビー協会の不手際だと弁明を繰り返していました。しかし、急に電話の向こうが騒がしくなり「お客様、(生中継で)放送することになったそうです。実は朝から抗議電話が殺到し、私たち、お客様に納得してもらえないのを承知で応対したんです。本当にもういやになっちゃう」と涙声で語ったといいます。職員も手におえない状況になって、やっと重い腰をあげたのです。

 NHKは今回の問題でも視聴者に目を向けていない――。そのことが浮き彫りになった一連の迷走劇でした。

 栗原千鶴記者



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