2005年2月13日(日)「しんぶん赤旗」
“不思議の国・日本”で
戦争と平和 考えよう
辻井、酒井、井上各氏が討論
日本ペンクラブが緊急集会
日本を代表する文筆家団体である日本ペンクラブは十二日、東京で「いま、戦争と平和を考える」緊急集会を開きました。二〇〇一年の九・一一テロ後に第一回を開いてから四回目。会場の日本プレスセンターホールには「ホームページで知りました。最近日本も戦争できる国になってしまうのかと不安です」というエンジニア(26)など、四百人以上が詰めかけ、立ち見も出ました。
作家の辻井喬、アジア経済研究所地域研究センター参事の酒井啓子、井上ひさし同クラブ会長の三氏がシンポジウムで討論。
辻井氏は国家間とは違う新種の戦争のなかで、平和の概念も問われているとして「われわれの生活が戦争をなくす方向へ働きかける平和なのか、世界の貧困地帯で戦争への危険を蓄積している平和なのか、検証する必要がある」と問題提起しました。酒井氏は「正義のためなら力を使ってもいいという考えがイラクに暴力をまんえんさせた。その張本人の米国がこれからは話し合いでといっても説得力は無い」と批判しました。
辻井氏は交流のある中国指導部が「日本の経済界の人はみな、首相は困ったものだというのに、選挙では自民党を応援する。不思議な国だ」と評していることを紹介。井上氏も「憲法のもとで政治・経済・国際的成功をおさめた自民党が、憲法を拒む不思議」「静かで穏やかな国民が改憲をめざす政党を支持するのも不思議」とこたえて、会場を笑わせました。
続いて講演した井上氏は、「世界には戦争をやめさせようという大きな流れがある」として、例として一九七七年に決められた「ジュネーブ諸条約追加第一議定書」のなかの無防備地域の攻撃禁止規定をくわしく話し「日本の九条は決して孤立していない」と訴えました。不思議の国日本で「みんな」でなくても「オレが頑張る」でいこう、「頑張っている人とゆっくり連帯して進んでいくしかない」と呼びかけました。
集会では、早期の自衛隊撤収と取材・報道の自由を求める同クラブの声明を発表しました。
日本ペンクラブ 国際ペンの日本センターとして一九三五年に結成。国境を超えた相互理解と連帯、表現の自由を守ることを目的としています。会員は、作家、編集者など二千人を超えます。
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