2005年2月12日(土)「しんぶん赤旗」 沖縄・辺野古住民の座り込み 300日美(ちゅ)ら海に米軍新基地いらぬ
「人殺しの基地はつくらせない」「美(ちゅ)ら海を守りたい」―。米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる名護市辺野古(へのこ)沖への新基地建設に反対する地元住民の座り込み行動は十二日で三百日目となります。粘り強いたたかいは県民だけでなく、全国の熱い支援をうけ、辺野古の海にくい一本打たせていません。 沖縄県・浅野耕世記者
まだ夜も明けきらない午前七時ごろ。辺野古漁港から抗議船が毎日出港し、新基地建設に伴うボーリング(掘削)調査の作業をやめさせるために備えます。海上作業を始めた当初は、数隻だった抗議船も、隣接する宜野座村などから海人(うみんちゅ)がボランティアで駆けつけ、いまでは十数隻の抗議船団になっています。名護市平和委員会が全国のカンパで購入した「平和丸」や、作家の灰谷健次郎さんが提供する「ナイワイ七世」も加わり、全国の支援にも支えられています。 宜野座村の男性(68)=漁業=は「戦争のときも、戦後も海の幸がなければ、生きていけなかった。われわれの命を守ってくれた自然に手をかけることは絶対に間違っている。阻止するまでたたかい続けたい」と語ります。 住民らの座り込みが始まったのは、昨年四月十九日、那覇防衛施設局が掘削調査を強行しようとしたためです。この日朝、施設局は辺野古漁港に確保した陸上ヤード(作業場)へ資材を搬入しようとしましたが、住民らの強い抗議をうけて撤退。その後、こう着状況が続きました。 事態が急変したのは同年八月の米軍ヘリ墜落事故でした。国は普天間基地の無条件撤去を求める世論の高まりを恐れ、新基地建設の既成事実をつくるために、同年九月九日、米軍基地内から資材を運び、海上での作業に着手しました。
ボーリングに向けた作業が進むにつれ、自然保護団体からは環境破壊を懸念する声が広がり、昨年十一月には、国際自然保護連合(IUCN)の総会で、天然記念物に指定された海獣ジュゴンの保護と環境影響評価(アセス)の見直しを日米両政府に求める再勧告が採択されました。 辺野古のテント村には地元の住民だけでなく、全国から多くの団体・個人が駆けつけています。 大阪在住の松本亜季さん(22)は、昨年五月中旬から約二カ月間、座り込みに参加しました。これを機に「自分の住んでいる足元で世論を広げることが次の課題だ」と決意した松本さんは、大阪駅前で毎週土曜日、署名行動を続けています。 辺野古のたたかいの中心メンバーの一人、牧師の平良夏芽さん(42)は、抗議行動に参加する若者たちに期待を込めながらこう語ります。 「辺野古のたたかいで成長した若者たちが東京や大阪で活動をはじめています。この世論と運動が全国に広がれば、新基地建設は必ず止めることができます。私たち沖縄県民が、二度と戦争の被害者にも、加害者にもならないために、これからも必死でがんばりたい」 白紙撤回までたたかう
「命を守る会」金城祐治代表の話 ボーリング調査を許さず三百日を迎えることができて感無量です。 今日まで政府が調査を強行できなかったのは、八年間の私たちの運動と基地建設に反対する圧倒的な国民・県民の世論の力があったからです。 東海岸の漁民が立ち上がってくれたことは、百万人に値する力になって、辺野古の状況を一変させています。 私はこの運動を始めたときから「継続こそが力だ」と言い続けてきました。その通りに情勢が動いていることに感銘を受けています。そのかいあって政府が「辺野古移設の見直し」を提案するという報道もあります。 しかし、白紙撤回を見届けるまで、私たちはたたかいの手を緩めることはできません。 新基地反対主な動き◆国会前での座り込み行動(二〇〇四年八月二日〜継続中) ◆県内の高校生が二百四十通の手紙を稲嶺知事に提出(同年十一月十二日) ◆沖縄国際大(宜野湾市)の学生らが集会「MOVE! OKIKOKU REMOVE! BASE」を開催(同年十一月十二日) ◆環境問題に関心を持つ沖縄大(那覇市)の学生らが「辺野古倶楽部」を結成(同年十二月三日) ◆市民や漁民ら六十八人がボーリング調査の中止を求め提訴(同十二月二十七日) ◆「辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動」が大阪防衛施設局に二千七百人分の署名を提出(〇五年一月二十一日) ◆辺野古に隣接する、国頭、宜野座などの漁民有志が新基地建設予定海域で海上パレード(同年二月六日) 毎週の宣伝・署名に市民声援
安保破棄・くらしと民主主義を守る沖縄県統一行動連絡会議(沖縄県統一連)は、昨年十一月二十七日から名護市街地で週一回、街頭宣伝・署名行動をしています。 のべ百五十四人が参加し、千六十人分の署名を集めました。「座り込みには参加できませんが署名なら」「いつも応援しているからがんばって」と、会えた人のほとんどが署名に応じてくれる一方、「基地には反対だが、仕事の関係で署名はちょっと」という反応もあります。 街頭演説で使用している宣伝カーは、大阪・大正区の日本共産党後援会から寄贈されたもの。 日本共産党の具志堅徹・前名護市議は、「基地のない沖縄を願う全国の大きな期待に応えて市民過半数の署名を達成し、辺野古の新基地建設に反対する『市民が主人公』の市政を実現したい」と決意を語っています。 |