2005年2月10日(木)「しんぶん赤旗」 ゴール貫いた攻撃的な姿勢ドラマはロスタイムに待っていた。 ゴール前、福西から受けたボールを大黒が、振り向きざまに左足を振り抜くと、ボールはゴールへと吸い込まれた。 本当に苦しいたたかいだった。前半4分、小笠原のFKで先制したが、それから日本はリズムを見失った。 いつもはしっかりつなげるボールがつながらない。「焦りが出たのか、初戦、ホームのプレッシャーなのか、ボールが足につかなかった」とジーコ監督。後半16分には北朝鮮の素晴らしいパスワークで追い付かれ、ホームできわめて厳しい状況に立たされた。 しかし、ここから日本が驚異的な粘りをみせた。 だれもが強い勝利への意欲を持ち、プレーし続ける。しかも冷静に。 しっかりとボールをつなぎ、相手を何度も崩しにかかる。足をつっていたのはむしろ北朝鮮の選手だった。 「私が30年サッカーやってきて一番学んだことは、最後の5分に試合をひっくり返せるということ。それを選手たちに伝えられていることがうれしい」とジーコ監督も選手の頑張りをたたえた。 そして、この素晴らしい試合は、北朝鮮の頑張りがあったからこそ生まれたものでもある。 「試合は勝つためにある。1―1になっても引き分けは決して考えなかった」と北朝鮮のユン・ジョンス監督。 攻撃的なサッカーを貫いた両チーム。この素晴らしい姿勢があったからこそ、鳥肌が立つような試合が生まれた。(和泉) |