2005年2月5日(土)「しんぶん赤旗」

塩川議員質問で浮かび上がった

郵政民営化の無責任


 郵政民営化で、国民に身近な郵便局のサービスはどうなるのか――四日の衆院予算委員会。日本共産党の塩川鉄也議員は「民間任せでは金融サービスは後退が必至」と追及しました。小泉首相は「民間の努力でサービスはよくなる」と無責任な答弁を繰り返しました。


「全国一律サービス」は?

義務付けなし

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郵政民営化問題で小泉首相を追及する塩川鉄也議員=4日、衆院予算委

 竹中平蔵郵政民営化担当相 銀行と郵便局が同じ条件で競争していただくことで、しっかりしたサービスが提供されていく。これが市場経済の基本的なメカニズムだ。

 塩川議員 (国民は)それを心配しているんじゃないですか。

 塩川議員が最初に取り上げたのは、民営化によって、身近な郵便局がなくなってしまうという国民の不安です。とくに心配なのが郵貯・簡保の金融サービスです。

 政府の基本方針には、郵貯・簡保にはユニバーサルサービス(全国一律サービス)の義務付けがありません。

 塩川氏は、ユニバーサルサービスが義務付けられた郵便局が店舗数を維持する一方で、採算重視の民間金融機関は過疎地で店舗数を大幅に減らしている事実をあげて、郵便局を民営化することの計画の無謀さを批判しました。

 竹中担当相は、過疎地からの民間金融機関の撤退は、政府保証で有利な条件の郵便局とでは競争にならなかったからだと暴論を展開。民営化で同じ条件になれば、競争のなかで過疎地でもサービスはよくなると答えました。無責任な“市場万能主義”です。

 競争条件を同じにすれば過疎地に向かって参入競争がおこるというのです。現実にまったく成り立たない空論です。結局、国民の利便をまともに検討していないことが明らかになりました。民営化の問題点は、いっそう明らかになっています。

「信書サービス」は?

参入業者なし

 塩川議員 全国サービスをおこなう一般信書便事業への参入業者は何社あるのか。

 竹中担当相 いま参入はないと承知している。

 一般信書便事業とは「民間でできることは民間に」と小泉首相が郵便事業に民間事業者参入できるようにしたものです。

 質疑でも、参入をしようとしている事業者がないことが明らかになりました。

 塩川氏は、首相自身が二〇〇二年六月の衆院委で「この法が成立すれば、民間企業は一つでも二つでも参入してくる」とのべていたことを指摘。「ユニバーサルサービスが民間でできないことを首相みずからが証明した」とのべ、「民間でやれることは民間で」と繰り返す根拠の道理のなさを浮き彫りにしました。

郵便局が国の財政圧迫?

根拠何もなし

 塩川議員 郵政民営化によって、国家公務員全体の三割を占める郵政職員を民間人にする、「小さな政府」をつくるといいますけれども、そもそもいま、郵政公社に直接税金が投入されているんでしょうか。

 竹中担当相 直接投入されている税金、そういうものはないと承知しています。

 政府がさかんに国民向けにアピールしている郵政民営化の利点に、「小さな政府を実現する」(一月二十二日付各紙掲載の政府広報など)というものがあります。

 まるで、郵政事業に国の税金がつぎ込まれ、民営化すれば税金の節約になるかのような議論です。塩川氏は、国民の七割が郵政事業に税金が投入されていないことを知らないと指摘、「これに便乗したごまかしを許さない」と批判しました。そして、小泉首相が〇三年十月の参院予算委での答弁(「郵便局は、予算要求で税金を使って保冷庫を作りたいといってきた」などとのべたもの)はまちがいであり、訂正すべきだと要求しました。

 小泉首相は、しどろもどろになりながら、「広い意味で税金は投入されている」と強弁。塩川氏は「そういうごまかしで切りぬけようとするのはとんでもない」と批判しました。



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