2005年1月30日(日)「しんぶん赤旗」

イラク

 総攻撃受けたファルージャ住民

選挙に懐疑、批判の目

米軍存在する限り状況は悪化


 【カイロ=小泉大介】米軍による総攻撃で数千人が死亡し、街が「廃虚」となったイラク中部ファルージャの住民は、三十日の暫定国民議会選挙に懐疑と批判の目を向けています。同地のジャーナリスト、ファディル・バドラーニ氏の本紙への証言や現地からの報道によると、同地住民の生活はいまだに悲惨な状態であり、多くの住民が選挙に参加できず、投票ボイコットの声も上がっています。

攻撃は現在も

 米軍の総攻撃開始から二カ月半。バドラーニ氏によれば、米軍の攻撃は現在も同市南部で続いており、日中は比較的平穏でも、夜間は断続的に米軍の砲撃や抵抗勢力と米兵の交戦が起きています。イラク人側に死傷者が出ていることは確実とみられますが、米軍が南部を包囲し住民の移動の自由を厳しく制限しているため、正確な状況を把握するのは困難だと同氏は指摘します。

 同氏は、ファルージャ住民の大多数が「選挙はファルージャの人々の血でできた川の流れの上で行われるものだ」「選挙は占領継続をめざす米独裁者による計画だ」などの声を上げ、選挙不参加の意思を明らかにしていると強調しました。

 米軍側は、同市の約三十万の住民のうち二分の一から三分の一が避難先から市内に戻ったとしています。しかしバドラーニ氏によれば、その数は不正確であるだけでなく、実際に戻った住民も、自宅や周辺の破壊のすさまじさに絶望し、米軍の家宅捜索も続いていることから、避難先にすぐさま舞い戻る例が相次いでいます。

壊滅的状況で

 市内にいる住民は「最大でも約二万人」(同氏)とみられますが、その生活は悲惨を極めているといいます。電気や水道施設は破壊されたまま、学校も病院も商店も壊滅的状況。住民の多くがテントや木片でつくった掘っ立て小屋での生活を余儀なくされています。冬の厳しい寒さの中、住民の健康状態は悪化の一途をたどっているといいます。

 ロイター通信は二十四日、「選挙ポスターはファルージャに希望ある将来を約束しているが、それを信じている住民はほとんどいない」として、次のような住民の声を伝えました。

 「すべてが破壊されたあとでどのように投票できるというのか。政治は信用できない。ファルージャ住民で投票する人間がいるとは思えない」「われわれは米国が選挙をコントロールしていることを知っている。米軍が存在する限り状況は悪化するだけであり、この状況では、たとえ選挙を五十回したとしても安定はやってこない」



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