2005年1月29日(土)「しんぶん赤旗」 日中韓で共通歴史教材研究者が激論重ね編集近現代史の事実知って日本・中国・韓国の共通の歴史副教材をつくろうと共同で編集作業を進めている歴史研究者たちが二十八日、東京都内で記者会見。「若い世代が過去の事実を知らなければ東アジアの真の平和は築けない」と語りました。共通教材づくりは三国の研究者や教員、市民活動家が二〇〇二年から進めてきたもので、今年五月に三カ国語で同時発行する予定です。
編集作業は十数回の会議や電子メールで議論を重ねて進めました。認識の違いから激論になることもしばしば。原爆被害については日本側が「人類に対する罪」という視点で書いたのにたいし、中国側から「アジアから見れば原爆で日本の侵略が終わったという認識がある」という意見が出て激論に。子どもも含む一般の日本国民が犠牲になった事実を中国や韓国の子どもにも知ってもらう必要があると、被害事実に重点を置く記述になったといいます。十九世紀後半の朝鮮への中国の介入をめぐっては中・韓の論争になりました。 「率直に議論をぶつけあうことで理解が深まるのを感じた」と笠原十九司・都留文科大学教授は語りました。 会見には日本から笠原さんと大日方純夫・早稲田大教授、韓国からは「アジアの平和と歴史教育連帯」の梁美康・常任共同運営委員長ら、中国から蘇智良・上海師範大学教授らが出席。「(侵略を美化した)『新しい歴史教科書』を批判するだけでなく、代案をつくり、東アジアの平和に一歩近づけたい」(梁さん)、「中国の若い世代に韓国・日本の近現代史を知ってほしい。政治家にもアジア共通の歴史を知ってもらいたいと思う」(蘇さん)と語りました。 副教材は近現代史が対象で、中学生から読める内容。発行後はそれぞれの国で学校での活用を働きかけていくことにしています。 |