2005年1月28日(金)「しんぶん赤旗」

激増する重大労働災害

職場問題研究チーム (4)

根絶めぐる新しい条件


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「リストラ人減らしSTOP(ストップ)」の横断幕を掲げる新日鉄の労働者たち=04年4月、東京・新日鉄本社前

 注目すべきことは、いま、労働災害をめぐるたたかいを発展させる新たな条件が広がっていることです。それは、大企業職場で重大災害が相次ぐ状況のもとで、社会的批判が大企業に集中し、経営者の側も労災を根絶するといわざるを得なくなっていることです。

 大企業は、労災について「安全・防災は…企業が存続するための絶対条件」(新日鉄)、「『安全の確保、コンプライアンス(法令順守)実践の徹底』は、企業存立の基盤とも言える課題」(JFEスチール)と主張しています。

 労災は、大企業にとって、企業基盤を弱める最大の問題になっており、放置することができなくなっています。

 また、労資協調主義の立場をとる大企業労組も、現在の労災の深刻さと労働者の怒りを反映し、労働者の労災にかかわる切実な要求を無視できなくなっています。

大企業の労組も要員問題取り上げ

 しかも、大企業労組の労災にかかわる方針が、労災が激増する最大の原因である要員問題を正面から取り上げるようになっています。

 たとえば、新日鉄労連は「必要なヒト・モノ・カネは優先的に投入しながら『安全最優先』をしっかりと徹底」という方針を出し、マツダ労組も「生産台数の増加に見合った適正な要員構成が重要」という方針を出すようになっています。

 JFEスチール労連は、激増する労災について、「憂慮すべき事態を超えて、危機感を抱くべき事態」として、職場論議を提起し、職場労働者の生の声を反映した「安全に関する組合提言」を発表しています。ここでは、「職場ごとに、操業のみならず必要な安全活動を含めて業務量を精査し、それに見合った適切な要員配置あるいは労働時間管理を行うべきである」と、生産計画に見合う要員計画の実現を職場からすすめていくことを提起しています。

 こうした方針は、これまで大企業労組が労災について掲げてきた労災の事後対策―災害補償、労災防止の個別対策などと質的に異なる方針です。

 激増する労災を根絶するたたかいの条件が新たな広がりを見せる状況のもとで、職場から新しい前進が始まっています。労災根絶のとりくみを開始した職場では、要求を具体的に実現する経験が生まれているのです。

 ある大企業職場では、労働組合が労災根絶のために、要員問題を取りあげていることを重視し、労働組合の方針を支持して、職場を基礎に運動を前進させています。

 職場労働者が要求して、労働組合規約に基づく職場懇談会を開くようにし、「生産に見合う要員はいったい、何人必要か」を議論するとりくみが始まっています。労働組合の方針と規約に基づいて、職場から要求実現闘争を行うという職場労働者の自覚的運動です。

要員増を実現した日本共産党の追及

 別の大企業職場では、クレーン事故で労働者が死亡した労災について、日本共産党の職場組織が原因を追及し、とりくみを強めるなかで、「生産優先」の名で廃止されていたクレーン専任係を復活させるなど、要員増を実現しています。

 これらは、「労働者が労働組合の主人公である」という労働組合存立の原点にたった本来的な労働組合運動の新たな胎動といえるでしょう。

 重大労災が激増している現在、その根絶をめざす要求闘争は、今日、命と健康を守る闘争として労働組合の第一義的な任務といっても過言ではありません。それはまた、家族を含めたたたかいとして発展するでしょう。 (おわり)



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