2005年1月24日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

豪雪地域で支え合う

高齢者　障害者　助かります　

　豪雪地域で暮らすうえで避けて通れないのが屋根の雪下ろしや生活道路の除雪です。作業は重労働であるうえに、ときには危険をともなうため、ひとり暮らしの高齢者や障害者にとっては大変です。札幌市で実施している「福祉除雪」、岩手県沢内村の雪かきボランティア「スノーバスターズ」の活動を紹介します。

福祉除雪を制度化

共産党と住民運動で　札幌

　札幌市は、降雪量が五メートルにもなる人口百八十万人の大都市としては世界に例を見ない多雪の都市です。

　毎年実施している市政世論調査では、「除雪に関すること」が、一九七八年以来二十六年連続で市民要望のトップになっています。

　高齢化が進むにつれて、個人宅敷地内の除雪ができないという問題が深刻化してきました。

　日本共産党市議団は、障がい者・高齢者などを対象に、道路から玄関までの除雪をする「福祉除雪」の実施を一貫して求めてきました。九九年九月に、「福祉除雪事業条例」を議案提案し、「介護認定で自立と判定され介護サービスが受けられない人で、着替えや食事は自分でできても、重労働の除雪はできないという人が多数にのぼる」と、提案説明を行いました。採決では日本共産党以外の会派が反対し、否決されました。

　しかし、翌二〇〇〇年一月に、合計三千人以上の署名を添えて、福祉除雪の実施を求める陳情が提出されるなど、運動は全市に広がりました。

　これらの運動におされ、同年冬から、市内の約２０％の地域で、自力で除雪ができない高齢者・障がい者宅を対象に、試行実施されました。

　〇一年からは全市で試行実施、〇三年から本格実施となりました。その間の利用者は二千六百五十世帯から、昨年十二月現在で三千七百三十世帯に増えています。

　福祉除雪を利用できるのは、七十歳以上の高齢者、障がい者の世帯で、一冬の利用料は、市民税非課税世帯が五千円、課税世帯が一万円、生活保護世帯は無料となっています。

　除雪の担い手である地域協力員は、町内会などの地域組織の人が千四百人（５８％）と大半を占め、ほかには災害防止協力会加盟企業などが参加しています。一世帯当たり一冬二万一千円の有償ボランティアです。

　福祉除雪を利用している渡辺一さん（７６）は「少し利用料が高いが、ありがたい制度。車庫の前もやってくれればもっといいのだけれど。家の前の雪を、空き地まで運んでくれる親切な人もいる」と感想を述べています。

　日本共産党の提案と市民の運動が実った制度ですが、党札幌市議団は、利用者の声を生かして、さらに改善し、もっと喜ばれる制度にしていきたいと考えています。宮川潤市議

出番です　スノーバスターズ

雪のない地帯からも応援隊　岩手・沢内村

　岩手県沢内村は奥羽山脈を境に秋田県と接する人口四千人の農業を主体とした村です。二メートルをこえる豪雪地域で、高齢化率も高く、「高齢者も安心して生活できる条件を」と生まれたのが、雪かきボランティア「スノーバスターズ」です。

　一九九三年十二月、約五十人でスタートし、現在二百人と増えています。約五十世帯の単身高齢者の冬の生活を支えています。

　高齢化率は３５％。五カ月間の豪雪は高齢者の力だけで暮らすには酷であり、高齢者を支えながら共に生きる地域をめざすのがスノーバスターズの活動です。「高齢者が丈夫で長生きし、いつまでも住み続けたい」という願いにこたえるものです。

　年末、年始は雪が少なく、暖冬を思わせましたが、八日から雪が降りつづき、一転大雪の様相を呈し、積雪一五三センチを記録しています。スノーバスターズの出番です。

　十班編成で毎週日曜日、班ごとの活動をすすめ、月一回は統一活動日を設定し、会員の交流や情報交換をしています。

　民生委員、ホームヘルパー、郵便配達さんも側面から協力しています。雪かきだけでなく、声をかけ、励まし、相談活動もすすめています。

　スノーバスターズはもともと社会福祉協議会の活動から生まれ、中高生や雪のない地帯からも応援隊が参加するなど、雪を通した世代間、地域間の交流も発展しています。

　沢内村は一九六〇年から高齢者医療費の無料化を実施。現在では乳幼児、障害児・者、母子、寡婦にも拡大し、生命尊重の村として知られています。六二年には全国初の乳幼児医療費ゼロを達成しました。現在では百歳の高齢者の出現も珍しくなくなっています。

　元沢内村社会福祉協議会事務局長　高橋典成