2005年1月24日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

「エビちゃん系」で愛されたい?

「モテ」の周辺女性誌にみる


 モテ顔、モテ服、モテメーク…。女性誌をみると「モテ」という言葉があふれています。女性誌が若い人に何を発信し、読者はメッセージとして何を受信しているのか−−。「モテ」の周辺を追ってみました。矢野昌弘記者

 都内の私立大学の法学部四年生の弥生さん(22)は、友達との会話で思ったことを率直にいう人です。イヤミがなく、温かみある物言いが友人から愛されています。

 ただ男性と話すときはちょっと事情が違います。思ったことを率直にいう彼女に、びっくりして話しかけてこなくなる男性がよくいるからです。だから弥生さんは、男性と話すとき、どんな話も初めて聞いたかのように驚き、オーバーにおもしろがる「ふり」をします。そうすると男性が安心した様子を見せるそうです。

 男性が驚くのは、日ごろ弥生さんがしている「エビちゃん系」といわれるファッションと物言いのギャップにあるのではないかと思っています。

男性の視線が

 「エビちゃん系」とは女性誌『CanCam』の専属モデル蛯原友里さんが誌上で着ている服の系統のことです。エビちゃんは同誌に登場するモデルの中でも高い人気を誇ります。そのファッションが「かわいいから好き。周りからやさしい感じに見られるから」と弥生さん。

 「エビちゃん系」ファッションは、ただのオシャレにとどまらない「効用」もあるようです。都内の私立大学商学部二年の瑞穂さん(19)も「エビちゃん系」です。「理屈抜きにかわいい」と思った彼女が『CanCam』で紹介された「エビちゃん系」の服を着るようになった一年生の冬ころ、友人から「年上の彼氏でもできたの?」とよく聞かれるようになりました。そしてある時、こんな相談を友人から受けました。「彼氏の気に入る服着たいからあなたの着こなし教えて」と。

 同誌を愛読する女性(30)のホームページ。これまで着たことのなかった「エビちゃん系」の服を着た時の周囲の反応をこう書いています。

 「そしたらば。あからさまに男性の視線の集まり方が違うじゃないですか。(中略)合コンでのヒットやナンパも増え、昔フラれた男の視線の温度も変わり。同僚からは男女問わず『キレイになった』『女らしくなった』のほめ言葉のオンパレードが!」

「チワワ目」で

 モテ顔、モテ服、モテメーク、モテ肌……。どの女性誌の見出しでも「モテ」という言葉が落ちたことはありません。どうしたら男から愛され、チヤホヤされるか――こんな意図の企画が最近の女性誌では目立ちます。

 なかでも人気なのがエビちゃん。少なくない読者が今の男に「めちゃモテ」する要素を「エビちゃん系」ファッションに重ねているようです。イメージで言えば、かわいさ、男性に守ってあげたいと思わせるような女性です。

 どんなことが「モテ」る要素なのでしょうか。弥生さん、瑞穂さんが友人からよく聞く「モテる技術」はこうです。チワワ目、ウルウルリップ、髪にカール、男が話す時は笑顔であいづち、何気なく男の体を触る、家事がうまい、よく気がつく……。

 その一方で、「男に尽くす」「専業主婦が夢」といった恋愛論や結婚観を持つ女性が、大学で多いといいます。


「今のままの自分でも…」

 弥生さんは以前、化粧による肌荒れや過剰なダイエットとリバウンドで苦しんだ経験があります。はんらんする情報に振り回されることなく、女性誌を楽しむコツをつかみました。それは「今のままの自分でもいいんじゃないか」という思いです。

 弥生さんはいいます。

 「周囲の目を意識しすぎて、それに振り回されている女の子がいてかわいそうです。細くて、色白が『モテ』る基準みたいに言われるけど、色黒な子はどうしたらいいのか。自分本来の美しさがわからず、今の基準に外れた自分に傷つく子がいるのはイヤです」


 エビちゃん系 『CanCam』誌上で、モデルの蛯原友里さんと山田優さんが、「かわいい系エビちゃんOL VS かっこいい系優OL」と題して、その月の着こなしを紹介する特集があります。「優系」が黒や茶を基調にした服にたいし、「エビちゃん系」は白、ピンク、ベージュなどが基調。「優ちゃん」が残業もこなすキャリア志向にたいし、「エビちゃん」はアフター5を楽しむ「腰掛け」OLといったイメージづけがされています。ちなみに女優の矢田亜希子さんがこのファッションの象徴的なモデルです。


お悩みHunter

考えかた曲げてまで結婚をしたくはない

  結婚に一度失敗しています。友人に「あなたはかわいくないわね。男の人にモテないわよ」といわれました。私は、自分のことは自分でする男性じゃないといや。若い男性は、かわいくて甘えられる女性を好むみたい。自分の考えを曲げてでも結婚する気にはなれません。(32歳、女性。神奈川県)

相手も尊重して歩み寄って

  結婚に限らず社会生活を営むうえで人間関係というものは誰にとっても難しいものだと思います。すべての人間が自分と同じ価値観を持っていて同じことを考えていればこんなに楽なことはありません。実際はむしろ価値観が違っていて当たり前というように感じています。私自身がかなり「オレ流」を貫くタイプの人間だからそう感じているのかもしれません。

 あなたも自分の価値観をしっかり持っていて変えたくないと考えていると思います。しかしこの世界では自分一人だけが生きているわけではありません。必ず誰かしらとかかわって生きています。そしてもちろんその人も自分の価値観を持っています。ですから大事なことは自分の価値観を大切に思うのと同じくらい相手の価値観を尊重することだと思います。お互いが歩み寄ることが大事なのではないでしょうか。

 相手の価値観を尊重することは自分の考えを曲げることにはならないと思います。自分の考えを持ちつつ相手の考えに歩み寄ったり、逆に相手の考えを認めたうえで自分の考えを貫くことが大事だと考えています。

 誰が上でも下でもなくすべての人が主人公になれるように、私自身も自分を主張し相手を尊重していけるようになりたいと思っています。

 わたしよわたしであれ、あなたよあなたであれ。

 第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林秀一さん 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。



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