2005年1月22日(土)「しんぶん赤旗」 ブッシュに抗議 「兵士の棺」イラク戦争は泥沼大統領、就任演説で触れず【ワシントン=浜谷浩司】ブッシュ米大統領は今後四年間の船出にあたる二期目の就任式で、「自由」を推し進めることが米国の「任務」だと演説しました。「神」を持ち出してまで正当化する姿勢に、きな臭さが漂います。
演説には、表向きの「強さ」の裏から、「弱み」がのぞいています。ブッシュ大統領は二十分ほどの演説で、イラクに一言もふれませんでした。十五万の大軍を投入したイラクで、治安の悪化が止まりません。 ワシントン市内で行われた就任式に抗議するデモ。参加者がイラク戦争で死亡した米兵を悼む「棺(ひつぎ)」をかついで行進します。それを覆う黒布と米国旗の赤が、前日の雪を残す地面にくっきりとした対照をつくっていました。 整然と並んだ段ボールの「棺」。それはこの日のワシントンで、米国が銃弾の飛ぶ戦争のさなかにあることを示した、ごくわずかなしるしでした。 「棺」を見つめながら、「まともじゃない戦争に、まともじゃない大統領…」と、アリス・バネットさん(22)=学生、ミシガン州在住=は言います。「自由だの民主主義だのと、おおげさな言葉を並べ立てながら、実は人の苦悩なんかまったく意に介さない。それがたまらなくて」 「アイデアリズム(理想主義)はあるが、リアリズム(現実主義)がない」。ABCテレビの政治担当キャスターが、現実から目をそらす大統領の姿勢を指摘しました。 就任抗議デモに参加した数千人が、声を上げて面白がった出し物がありました。 ブッシュ大統領をはじめチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ライス大統領補佐官(次期国務長官)、ゴンザレス司法長官。この五人が「アブグレイブの仲間たち」と書かれた紙を持って、真ん中には黒いずきんをかぶせられた収容者をはさんで踊り狂っているのです。 「自由」や「民主主義」というブッシュ大統領の言葉の真実を、何の言葉もない仮面劇が雄弁に語っています。 この日、抗議デモは西海岸や南部など全米各地で取り組まれました。 |