2005年1月21日(金)「しんぶん赤旗」 NHK番組問題 報告書をみる政治介入の日常化浮かぶ番組への政治介入問題でNHKは十九日に記者会見し、コンプライアンス(法令順守)推進室の報告書を発表しました。報告は「不当な圧力に基づく改変等はうかがわれない」としていますが、検証してみると、逆に政治介入が日常化したような実態が浮かび上がってきます。 まず、NHKが認めたことは、当時の松尾武放送総局長と野島直樹担当局長が「番組放送前である一月二十九日ころに安倍(晋三)氏と面談していた事実」。面談については「国会議員に対して予算及び事業計画を説明するに際して担当局長が役員を同行することは通常行われていること」で「通常業務の範囲内」であることとしています。 さらに「報告」は「事業計画の説明等に付随して今後放送される放送番組についての説明を行うことも通常行われていて」、そのことも「業務遂行の範囲内」だというのです。政府や自民党の幹部、国会議員にたいし、特定番組の内容を事前に説明することが異常なのに、それが「通常業務」になっているというのです。 これでは、政治介入の機会を日常的につくりだしていることになります。 このこと自体深刻ですが、今回問題になっている放送前日の安倍氏(当時、官房副長官)への説明と、その後の番組改変の異常さを消し去ることはできません。 安倍氏はテレビ番組で、NHK側は番組について「非常にバランスのとれた番組になっている」と説明したと明かしています。「バランスのとれた番組」なら、安倍氏に面会後、改変する必要はなかったはずです。 しかし、事実は二十九日に安倍氏との面談を終えた松尾氏らがNHKに戻って以降、異常な番組改変が強行されました(表参照)。完成した番組を、放送前日の深夜、さらに当日に四分も短くという「通常、絶対にありえない」(複数の放送関係者)ことまでやってのけました。政治家の圧力に屈したNHKが番組改変をおこなったこと以外説明がつきません。荻野谷正博記者
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