2005年1月20日(木)「しんぶん赤旗」

ビラ配布弾圧

日本共産党の検事総長申し入れ(全文)


 政党ビラの配布で不当な起訴がつづいている問題で日本共産党が十九日、松尾邦弘検事総長あてに提出した申し入れ(全文)は以下の通りです。

公訴権の濫用らんようをやめ、検察権の厳正公平な行使を求める

 検察権が厳正・公平に行使されなければならないことはいうまでもない。検察権は司法権と密接不可分の関係にあり、司法権の適正な実現のためには、検察権が公正妥当に行使されなければならない。検察が、政党や政治家の利害、都合によって左右される等その公正を失う運用を厳重に慎まなければならないのは当然である。

 ところが、このところ、政権与党の政治家や官僚の違法行為は放置され、他方で、国民の基本的人権をじゅうりんする不当な検察権の行使が目立っている。これは、厳正・公平な検察権の行使とはほど遠く、政権与党や政治家の利害、都合を優先したものといわざるをえない。このような検察権行使のあり方は、ただちに是正されなければならない。

 たとえば、一昨年12月、麻生太郎・総務大臣は昨年実施された参議院選挙に自民党から立候補を予定している総務省OBのパーティーで、総務省を挙げて選挙で当選させるべく全力をあげるとあいさつし、公務員の地位を利用した官庁ぐるみ選挙運動を奨励した。自民党参議院議員の小野清子・前国家公安委員長が、1998年までの10年間、自宅で家事手伝いをしている女性を公設第一秘書として登録し、秘書給与を国から受領していたことも発覚した。しかし、これらについて検察の捜査がおこなわれている形跡はみられない。日本歯科医師連盟から自民党派閥への1億円献金隠し事件では、献金隠しの処理をした会計責任者が村岡兼造・元官房長官以外に関与したと証言する自民党政治家等は起訴されていない。北海道警察をはじめとするいわゆる「裏金」問題についても、職務権限を行使して警察官に「裏金」処理をさせた警察幹部や、会計検査院の検査にさいし「裏金」の存在を隠蔽(いんぺい)する指示をした警察幹部など、だれ一人として起訴されていない。

 他方、国家公務員が公休日に居住地で“憲法9条を守ろう”と訴えた「しんぶん赤旗」号外などを配布したことを、国家公務員法の政治活動の制限条項にあたるとして、また、自衛隊員官舎の共用部分で自衛隊のイラク派兵に反対するビラを配布した市民を住居侵入として、昨年あいついで起訴し、国民の言論・表現の自由、政治活動の自由をふみにじる検察権の行使をおこなっている。後者については昨年12月、東京地裁八王子支部で政治的言論・表現活動としてのビラ配布は憲法上尊重されなければならないとして、無罪判決がだされたところであるが、東京地方検察庁は不当にも控訴した。さらに、昨年12月には警視庁が、東京都葛飾区内のマンション共用部分で日本共産党の「都議会報告」「区議団だより」などを配布していた男性を逮捕したのに対し、検察官は不当にも長期に勾留し、起訴を決定した。

 このような検察権の行使は、憲法の保障する国民の基本的人権をじゅうりんするものであって絶対に許されない。政権与党の政治家や官僚の犯罪を放置している現状と対比しても、その不公平な運用は明瞭(めいりょう)である。国民の政治的言論表現活動であるビラ配布等を逮捕するなど、警察の違憲違法な行為に対して、検察庁はきっぱりと不起訴処分を行うことこそ、求められる。

 日本共産党は、検事総長に対し、国民の人権を侵害する捜査権および公訴権の濫用をやめ、政権与党の政治家や官僚の犯罪をきびしく捜査、起訴するなど、検察権を厳正・公平に行使するようきびしく要求するものである。



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