2005年1月19日(水)「しんぶん赤旗」

'05東京 都議選

東京都議会での「オール与党」

都民いじめこんなに


 いま東京都議会で石原都政のもと、自民、民主、公明、生活者ネットなどの「オール与党」体制がすすんでいます。全国最悪の福祉切り捨て、財政も環境もかえりみない大企業本位の大型開発――「オール与党」の姿を、各党の発言を中心にみてみました。

福祉切り捨て

都民に痛みを―自民
福祉の構造改革を評価―民主
わが党の提案を受け入れた―公明

 石原都政のもと、削減された福祉関係費は四年間で七百六十四億円(決算)にのぼります。歴代都知事のなかで前知事の時代より福祉関係費を減らしたのは、石原知事だけです。

 お年寄りのシルバーパス全面有料化、老人医療費助成(マル福)の縮小(二〇〇七年六月廃止)、老人福祉手当廃止、特別養護老人ホームや保育園への補助金カット、都立施設の廃止・民間移譲……。福祉・都民施策切り捨てを石原都政と一体で推進してきたのが、「オール与党」です。

 自民党は、福祉や都民施策の切り捨てをすすめる都の「財政再建推進プラン」を「わが党の主張と合致し、同じ方向をめざすもの」(〇三年十月十七日、同党談話)と評価。「時には都民のみなさまに痛みを分かち合っていただく」(〇三年十月六日、矢島千秋都議)と推進しました。

 公明党は、石原都政の「福祉改革」という名の切り捨て策にたいし、「わが党の提案を都は全面的にうけ入れた」(〇一年二月二十七日、中山秀雄都議)と自らの“成果”としています。母子保健院の廃止問題では、都民からの不安の声を、「一部の団体がいたずらに住民の不安をあおっている」(〇二年九月二十五日、森田安孝都議)とまでのべました。

 民主党も、「福祉分野での構造改革を評価」(〇二年二月二十六日、田中良都議)と推進。老人福祉手当については「寝たきりを助長する性質をもつもの」(〇三年三月七日、土屋敬之都議)と廃止をすすめ、その復活に反対しています。

 生活者ネットも、石原知事が提案した福祉切り捨ての一般会計予算にすべて賛成しています。

 都民の願いである三十人学級についても、自公民各党は、国に実現を求める日本共産党提案の意見書に反対しました。

大企業本位の「都市再生」

あえて環境アセス必要ない―自民
都債を追加発行してでも―民主
わが党のかねての主張―公明

 石原都政は、「財政危機」を口実に福祉切り捨てをすすめる一方で、「都市再生」の名目で、超高層ビル建設を応援し、大型幹線道路計画に熱中し、バブル時代の二倍におよぶ一兆円規模の投資をつづけています。「都市再生」推進のため、都の環境アセスメント制度を改悪し、高層ビルのアセスの対象を高さ百メートルから百八十メートル以上にゆるめるなど、巨大開発を野放し状態にしてしまいました。

 この「都市再生」問題でも、「オール与党」の推進ぶりはきわだっています。

 自民党は、かつての「東京一極集中の是正」という建前も投げ出し、「必要なのは、均衡ある国土の発展ではなく首都圏のポテンシャルを高めること」(〇三年九月二十六日、萩生田光一都議=当時)と開き直っています。環境アセスメントについても、「まちづくりのなかでしっかりとした取り決めさえできていれば、あえて環境影響評価が扱う必要はない」(〇二年六月十八日、古賀俊昭都議)とまでのべました。

 民主党は、「経済動向いかんでは都債の追加発行による投資的経費の増額も考慮すべきである」(〇三年三月七日、土屋敬之都議)と借金してでも推進するよう要求。公明党は、「わが党がかねてから主張してきた構造改革推進型の公共投資」(〇三年二月十九日、森田安孝都議)と持ち上げています。

「日の丸・君が代」強制問題

指導要領に基づき指導を―自民
教員処分要求―民主
強制はなかった―公明

 石原都知事の憲法否定・九条改憲発言や「日の丸・君が代」の強制も、単に知事一人の暴走ではありません。

 自民党は、石原知事の「命がけで憲法をやぶるんだ」という発言にも、「感動をもって聞かせていただいた」(〇四年十二月九日、吉野利明都議)と賛美しています。そのうえ、日本がアジアを侵略した太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼んで、「自衛のために米英連合軍とたたかった」(〇四年十二月十六日、小美濃安弘都議)と美化しています。

 憲法否定の都政のさいたるものが、学校への「日の丸・君が代」の強制です。

 この問題では、民主党が、「君が代」斉唱で起立しなかった生徒が相次いだことを教員の責任だと追及し、「現職教員のなかに協力者がいるのではないか」(〇四年三月十六日、土屋敬之都議)とまでのべ、教員の処分を求めました。

 自民党も、「入学式、卒業式等における国旗・国歌の扱いについて、学習指導要領に基づき、指導されたい」(〇五年度予算要望)と都の強制姿勢を後押し。公明党は、都の強制に対する学校関係者の批判にたいし、「まるで都教委は鬼か悪魔かと思ってしまうほどの批判」とのべ、「強制はなかった」(〇四年三月二十五日、中嶋義雄都議)と言い張っています。


石原都政・総与党と対決、
要求実現へ尽力―日本共産党

 日本共産党東京都議団は、石原都政と「オール与党」の政治に正面から対決し、「住民の福祉の増進」という自治体の本来の姿に立ちかえるよう強く求めています。

 石原都政が福祉切り捨ての口実としている「財政危機」について、原因が大企業本位の「都市再生」に熱中し、一兆円規模の投資をつづけているためだと追及。国が負担すべき国道建設費の分担金や首都高速道路公団への無利子貸し付けなどを改めるだけで福祉拡充は十分可能だと具体的裏付けも示して提案しています。

 また、石原都政と「オール与党」がすすめる「都市再生」が、都市部の地上気温が異常に高くなるヒートアイランド現象をはじめ環境悪化の大もとになっていることを示し、環境と共生し、災害に強い都市づくりへの転換を求めて奮闘しています。

 住民運動と連携しながら、都民施策の拡充にも粘り強く取り組んでいます。子どもの医療費無料化の拡充、介護保険の負担軽減、八王子、清瀬などの都立小児病院の廃止計画の延期、三宅島民にたいする住宅再建支援、水道料金の値下げなどを実現してきました。

 石原知事の憲法否定・九条改憲発言、「日の丸・君が代」強制を批判し、その姿勢を都議会で正面からただしてきたのも、日本共産党だけです。

 「共産党など一部の会派を除くと、総与党化が進み、特に石原知事の2期目になってから翼賛的な傾向が顕著になった」(『都政新報』七日付)。石原都政と一体となった「オール与党」と日本共産党の対決という都議会の構図は鮮明です。



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