2005年1月19日(水)「しんぶん赤旗」

まぎれもない政治介入

ＮＨＫ問題　ジャーナリストら緊急会見

“真実知る人発言を”

国会内で開かれた「ＮＨＫ問題に関する緊急記者会見とアピール」の会。発言する映像ジャーナリストの坂上香氏＝18日

　「まぎれもない政治介入だ」「真実を知っている人は長井さんに続いてほしい」―。自民党の安倍晋三幹事長代理などによるＮＨＫ番組への介入問題について十八日、ジャーナリストや雑誌編集者、メディア研究者ら十六人が東京・千代田区の参院議員会館内で緊急記者会見し、それぞれの思いを語りました。

　記者会見は、ジャーナリストの野中章弘氏が呼びかけ人代表になって開いたもの。野中氏は「今回の事件はＮＨＫだけでなく、メディア全体の問題だ」と発言しました。

　記者会見には、改ざんされた番組に出演していた高橋哲哉東京大学教授も参加。「当時、政治家の介入の話はうわさには聞いていたが、ブラックボックスになっていた。今回の長井さん（暁・ＮＨＫチーフプロデューサー）の話でこのブラックボックスが埋まった。ＮＨＫのなかには悔しい思いをしている人もいるはずだ。真実を知っている人は長井さんに続いてほしい」と呼びかけました。

　『ＧＡＬＡＣ』元編集長の坂本衛氏は「政府中枢にいる高官が放送局の幹部にたいして、放送前の番組について偏った内容であると判断をした上で意見をのべることは、まぎれもない政治介入だ」と強調しました。

　元立命館大学教授の松田浩氏は、今回の問題はＮＨＫだけでなく、民主主義の問題であり、視聴者の知る権利の問題だ､と強調｡立正大学教授の桂敬一氏は「放送に対する権力の介入はけしからんということでメディアが一致しないところに大きな問題がある｣と指摘｡『放送レポート』編集長の岩崎貞明氏は、このようななかで真相を明らかにするためには「第三者による調査機関を設けて、調査すべきだ」と提案しました。

　このほか、番組制作会社のディレクターとして問題の番組作りにかかわった映像ジャーナリストの坂上香さんや、ジャーナリストの斎藤貴男さんらが発言。会場からも「長井さんの告発を生かすためにも、ＮＨＫの他の人も発言してほしい」（ジャーナリストの魚住昭さん）などの訴えが続きました。