2005年1月17日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

商調法で取戻そう活気ある商店街


 大型店の進出に対し、地元商店を守り、町づくりを進めるため、日本共産党は各地の地方議会で、小売商業調整特別措置法(商調法)を活用するよう主張しています。実際に同法を活用した京都の商店街振興組合の例と、同法の活用を求めて運動している東京の例を紹介します。


「なんでもやろう」と府に調査を申請

京都・西新道錦会商店街

元気商店街に深まる危機感

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空き店舗を利用した食堂での「お食事会」では地域の人たちの笑い声がたえません=京都市中京区、西新道錦会商店街

 京都市中京区の西新道錦会商店街振興組合(安藤宣夫理事長)は昨年九月、大店立地法施行後、全国で初めて小売商業調整特別措置法(商調法)第一四条の「調査」を、府知事に申請しました。

 対象は、商店街から東に五百メートルほどの工場跡地で日本たばこ産業が計画する、スーパーを中心とした大型店。すでに商店街の西隣にもスーパーがあり、“商売敵”に挟まれる格好となります。

 同商店街は、電子マネー事業や高齢者給食サービスなど、地域密着で活性化に努力してきた、全国でも有名な“元気商店街”。しかし半径二キロメートルには二十軒前後の大型店がある上に、生鮮四品(野菜・肉・魚と鶏肉)や日用品に強いスーパーの進出となると、「組合員の危機意識が違う」(安藤理事長)状況です。

 進出スーパーが明らかになった後、同振興組合事務局長で日本共産党の原田完府議が「商調法は活用できる」との議会答弁を引き出し、「できることは何でもやろう」と取扱品目や予想商圏などを調べる「調査」の申請をすることにしました。

安全を合言葉持ち味売りに

 同商店街は、商店街の“生き残り”を、ひとり商店街だけの問題ではないと考えています。

 「今年は、さまざまな“安全”をキーワードにした取り組みを考えている」という同商店街振興組合の畑宏治専務理事は、「子どもの事件が多いなか、お客の若いお母さんから『商店街の人に子どもの顔を覚えてもらえて安心』と聞きました。こういうことは大型店では不可能です。商売はもちろん、安心して住み続けられる地域づくりには商店街が必要」と話します。

 現在は、再申請の準備中で、商調法第一六条の「調整」(行政が売り場面積の縮小や出店計画の延期などを勧告できる)の申請も検討しています。

 同商店街の後、申請を準備・検討する業種組合や商店街も生まれています。宇治市の小倉駅前商店街協同組合もそのひとつ。近隣で大型商業施設の建設が進んでいます。

 内装業界の全国役員もつとめる、同協同組合の三田村明雄理事は、「『何もせんよりやってみよう』と理事会で申請することにしました。これだけ大型店や中小のスーパーの進出が続くと、府南部の商店街はなくなってしまう。大型店を求める消費者の声もわかるが、対面販売の良さや役割もある。共存共栄できる規制をしないとどうにもならない」と話します。

 活用できる法律があっても、大型店出店に頭を悩ます商店街や業者、国民の立場で生かそうとする行政の努力がなければ実効はあがりません。「だからこそ行政を動かす運動と議会論戦が不可欠」と原田府議は指摘します。京都では、党府委員会と府・市議団が手続きなどを解説したビラを発行し、また民主商工会など業者団体が同法の活用をよびかけています。京都府・足立裕紀子記者


共産党質問に都が「対処」と答弁

活用呼びかけに反響

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大規模ショピングセンター計画地の現地調査をする清水ひで子都議(中央)、丸茂勇夫都議(右から2人目)と党八王子市議団=04年11月26日、東京・八王子市

 東京では、日本共産党都議団が先頭に立って、中小企業者との懇談などで出された大型店進出阻止を求める要求を重視し、小売商業調整特別措置法(商調法)を活用して商店街を守ろうと活動をすすめています。

「都は活用を」書店主ら要請

 清水ひで子都議は、昨年九月の都議会第三回定例会本会議の代表質問で、大型店の出店攻勢から地域経済を守るよりどころとして「小売商業調整特別措置法に着目することが重要だ」とし、同法の活用を提起しました。都は「法に基づき適切に対処する」と答弁。清水氏の質問は大きな反響を呼びました。

 「清水都議の質問で商調法は生き返ったと思いましたね」と東京都書店商業組合副理事長の下向磐さん(69)は語ります。東京都書店商業組合などは十月に、木村陽治党都議団長、清水都議らとともに、大企業の書店業界参入問題で商調法の活用を都に要請しました。下向氏は「商調法を活用しようという世論が高まることは喜ばしい」とのべています。

 日本共産党都議団と都議候補は同月、東京都商店街振興組合連合会、東京都商店街連合会、東京都中小企業団体中央会、東京商工団体連合会などの主要団体や商店街への訪問活動を展開。同法の説明や日本共産党の活動をまとめたパンフレットを手渡し、「商調法を活用し、大型店のラッシュに歯止めをかけましょう」と呼びかけました。対話で、「商調法を活用した大型店進出阻止の運動をすすめていきたい」との反応もありました。

 大型店の進出が相次ぐ大田区では、都議候補を先頭に地域の商店街に商調法の活用を呼びかける活動をすすめるなか、「商店街がなくなる」「なんでも規制緩和というのはよくない」と大型店進出への懸念と、商店街を守る日本共産党への期待が寄せられています。

党の調査にも地元から参加

 八王子市でも、同商店会連合会が昨年七月、中央道・八王子インター北地区周辺の超大型ショッピングセンター出店計画の白紙撤回を求める意見書を市に提出。日本共産党は、九月の市議会で同意見書を取り上げ、超大型ショッピングセンター出店計画が中心市街地の活性化と両立しないと指摘し、開発計画の見直しを要求しました。清水氏も参加した日本共産党の現地調査には、地元商店街からの参加もあり、「共産党はがんばっている」と評価する声が上がっています。

 清水氏は「都内の各商店街で大型店進出への反撃が強まろうとしています。商店街への訪問活動をつうじて商調法を活用しようという提起が期待を持って受けとめられ、日本共産党の中小企業政策が評価されています。商店街を守るために一緒にがんばっていきたい」と語りました。東京総局・松本眞志記者



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