2005年1月15日(土)「しんぶん赤旗」

阪神・淡路大震災10年 データで現状を検証

借金返済破たん、孤独死…

生活も営業も再建遠く


 死者六千四百三十三人、家屋全半壊(焼)四十七万世帯という大災害、阪神・淡路大震災(一九九五年一月十七日)から丸十年。繁華街の風景は震災があったことすら感じさせなくなっています。しかし、地元の新聞も「被災者アンケート 復興に停滞感六割」「険しい生活再建」と報じるなど、いまも立ち直れず苦闘する被災者が多く残されているのが被災地の実態です。生活復興の角度から、現状を諸データで検証します。



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郊外の山を切り開いて建てられた復興公営住宅に帰るお年寄り。長い坂道を登らなくてはいけません=昨年12月、神戸市垂水区

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いまも苦しむ被災者への支援を訴え、宣伝する日本共産党兵庫県議団。左から2人目は平松順子衆院比例候補=11日、兵庫県庁前

 兵庫県などは、「被災地人口は震災前の水準に回復した」と強調しています。しかし神戸市では、震災前の八割にとどまっている長田区や、兵庫区、須磨区など被害が大きかった地域で人口が回復していません。被害が少ない郊外の西区で二割増えています。

 日本共産党神戸市議団の十周年調査では、震災前に住んでいた行政区の災害復興公営住宅にいま住んでいる人は約四割。多数が元の街に戻れませんでした。(図1)

 各種調査では、持ち家を失った被災者のうち、再建できたのはほぼ三分の二。あとは資力がなく断念しました。再建した被災者は、二重ローンをはじめ過重な住宅ローン負担に追われ、返済破たんが増え続けています。(図2)

 産業復興推進機構の被災地事業所アンケート(昨年十月発表)では、売り上げが震災前と比べ減っている事業所が約七割。「震災の影響が残っている」との回答は50%以上もあります。営業再開で借りた借金の負担は重く、業者に約三万四千件貸し付けられた緊急災害復旧資金融資の12%、約四千件が返済破たんする事態です。

 被災者に約四万戸供給された災害復興公営住宅で、孤独死が昨年末までに三百二十七人に。仮設住宅の二百三十三人を大きく上回りました(図3)。住民の孤立は深刻で、神戸大の塩崎教授研究室と神戸新聞の合同アンケート(昨年九月)では、近所の人や友人らとのつきあいが「週一回もない」という人が半数近くいます。年収百万円未満の世帯が37%、百万円以上二百万円未満が42%と大多数が低所得(同アンケート)です。党神戸市議団調査では、いまの暮らしに不安を訴える人が73%。家賃を払えず強制退去という例が絶えません。

 約五万六千人が借りた災害援護資金は、約三割が十年の期限内の返済が不可能に(昨年十月、復興県民会議調べ)。借りた人の自己破産も増え、昨年は前年比四百五十六件増の二千五十三件にのぼっています(同)。

 心のケアが必要な被災小・中学生は、いまなお千三百三十七人います。生活の不安定さによる二次的ストレスが増えており、それが震災の恐怖をよびおこすと指摘されています。生活再建の遅れが影を落としています。


10年で支援打ち切り

国や自治体など

 国や自治体は、十年を区切りに被災者支援策を打ち切る構えです。入居十年で順次打ち切られる予定の復興公営住宅の家賃補助をはじめ、民間賃貸住宅家賃補助や、緊急災害復旧資金融資の返済据え置き・利子補給なども終了の予定です。

 神戸市は先月、災害援護資金の返済滞納者二千五百人に「法的措置の警告をしている」とし、「順次、法的措置を前提に厳しい対応をとる」と表明。被災者の実情を無視した強制的な取り立てが問題になっています。


抜本的支援求める

日本共産党

 日本共産党兵庫県委員会は、十周年での「幕引き」を許さず、▽被災者支援策の継続・拡大▽住宅・営業の借金返済の負担軽減▽災害援護資金の強制取り立てや復興住宅の強制退去をやめる▽住宅本体建築費の支給、支給額引き上げ、阪神・淡路の被災者に相当の支援など被災者生活再建支援法の抜本改正――などを求めています。



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