2005年1月9日(日)「しんぶん赤旗」

三菱地所などに恩恵

特定企業利する「都市再生」

国有地安く購入 → 容積率2.4倍

計画案を本紙入手 石原都政が推進


 都心の国有地を入札なしの随意契約で安く売らせ、その後、土地の容積率を一気に現行の二・四倍、最高クラスの1690%にまで引き上げて延べ床面積を増やし、開発する三菱地所などに大きな利益をあげさせる――。石原都政と小泉内閣の肝いりで進んでいる「都市再生」プロジェクトの計画案が本紙の調べで判明しました。特定企業を利する不透明さに地元の東京・千代田区でも批判が出ています。



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大手町合同庁舎跡地=東京・千代田区

 この国有地は東京・大手町合同庁舎跡地約一・三ヘクタール。もともと競争入札で売却される予定でしたが、石原都知事が二〇〇二年秋、塩川財務相(当時)に「大手町地区の街づくり」に向けた「処分」を要望。その後、政府の都市再生本部(本部長・小泉首相)が「大手町合同庁舎跡地の活用による国際ビジネス拠点」づくりとして第五次都市再生プロジェクトに決定しました。国、都はそれぞれ約六千万円、八百万円の調査費(〇四年度)をつけています。

 この実態を示すのが本紙の入手した独立行政法人・都市再生機構(旧都市基盤整備公団・地域振興整備公団)や三菱地所作成の資料です。

 資料によると、まず、都市再生機構が受け皿になって国有地を随意契約で安く購入。土地区画整理事業でこの土地を日本経団連などの土地と交換し、経団連などを跡地に移転させます(図)。

 跡地の開発は、日本経団連事務総長が社長、三菱地所社長が取締役をつとめる会社が出資する事業会社が主体になり、三菱地所など四社が「事業パートナー」となって進めます。都市再生機構は国有地を随意契約で払い下げるための“トンネル”です。

 注目されるのは、国有地取得時と、再開発時の容積率に大きな差を設定していること。都市再生機構は、現在の容積率700%を前提にして「1000億円」で取得します。これは、三菱地所などの「現行容積率700%を前提とした評価をもとに交渉を」と低価格で入手するよう要望したのを受けたもの。他方、払い下げ後の再開発では、「都市再生特別地区」とし、容積率を1690%に引き上げる方針です。

 この結果、移転企業や開発する三菱地所などに容積率アップの恩恵が生まれます。三菱地所など四社の「事業パートナー」は、販売・処分して事業費にあてる「保留床」(九百三十億円分)を入札なしで購入。これをもとに賃貸事業などをおこない、収益を上げられます。

 いわば、価格を抑えて払い下げてもらった国有地を二・四倍の値打ちにふくらませ、それをタネに三菱地所などが利益を得る――という構図です。また、移転する経団連も現在の床面積を確保した上、容積率アップで上積みされた床面積分を五十一億円余の「余剰金」として受け取ります。

 三菱地所広報部は本紙に「事業の全体スキームは、行政なども入った推進会議で公平性を配慮して決められている」などと答えています。

 容積率 建物の敷地面積にたいして何倍の延べ床面積の建物を建てることができるのかを示すもの。容積率が大きいほど延べ床面積が大きくなります。




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