2005年1月6日(木)「しんぶん赤旗」 「9条グッズ」に平和の思い込め岐阜でも多彩に憲法第九条を守り、平和な世界をという運動を広げるために、多彩な「九条グッズ」が生まれています。岐阜県でも「9条の会・おおがき」の「9条シール」や、「九条の会・とき」の「九条湯のみ」があります。グッズに込めた平和への思いをききました。 「9条の会・おおがき」人気の手づくり「シール」「9条の会・おおがき」(事務局は、岐阜・大垣市の西濃法律事務所内)の手づくり「9条シール」は、同会の人気「9条グッズ」の一つです。シールが三枚組みになって一セット百円で普及し、シンボルマークにもなっています。 ◎9嬢ちゃんも
七色の虹(にじ)の中に同会の名前が入り、幸せを呼ぶといわれる四つ葉のクローバー、その茎で憲法第九条の「9」を表現しています。隣にかわいらしく描かれているのが、「9嬢ちゃん」です。デザインし、パソコンで絵を描いたのは、佐久間美穂さん(26)。シール用のシートにプリンターで印刷します。 佐久間さんは、西濃法律事務所職員になって四年目です。「平和といって堅苦しく考えないで、楽しく取り組めたらいいな。イラクへの自衛隊派兵など、九条からはずれている事態が多いから頑張ろうと思ってます。自分になにができるか考えていたので、得意なデザイン・イラストを生かせてうれしい。『9条シール』が平和を考える入り口になればと思ってます」 「9条の会・おおがき」には、憲法第九条を守り、平和主義の精神を広め、世界の平和に貢献しようと、幅広い人たち約三百人が参加。憲法の学習会や大垣駅前での宣伝、イベントなど多彩な活動に取り組んでいます。 ◎人形劇つくり佐久間さんが職場の仲間といっしょに作った三体の人形があります。「憲九郎(憲法第九条)」「ピースちゃん」「ユージ(有事)君」です。憲九郎がユージ君にいじめられ、ピースちゃんと一緒に対決し、憲法第九条を守り、世界に広めていこうという人形劇にしました。
脚本を考えたのは「9条の会・おおがき」の事務局の船田伸子さん(48)です。「みんなの豊かな才能を生かして魅力あふれるような会にしたいと思ってます。歌や踊り、絵などいろんな表現の仕方で伝えたい。グッズは、その一つです。街頭でも、目立って注目を集めたいというのがモットーなんですよ」 船田さんは、西濃法律事務所に十五年間勤め、いまは事務局長。「憲法は古くなった」「自衛隊派遣は国際貢献」などという主張には納得がいきません。 「今年は戦後六十年。アジア各地を侵略した日本が二度と戦争をしないと、アジアの人たちへの約束を表現したのが九条です。日本が外国で戦争しないように歯止めをかけてきたのが憲法です。九条は、政治の問題ととらえがちですが、自分たちの命や安全、くらしの問題だということを多くの人たちに広げていきたいと思っています」 「九条の会・とき」美濃焼の「九条湯のみ」広げ岐阜県土岐市の「九条の会・とき」の「九条グッズ」は、美濃焼の「九条湯のみ」です。デザインを考えたのは、陶芸家・加藤孝雄さん(60)です。 ◎9条全文が…
「この湯のみが、全国の運動の中でも役に立てればと思っています。土岐は陶器どころなので、何かできることをと考えて作りました。不況に苦しむ地場産業、美濃焼の宣伝にもしたいと願っています」と語っています。 「九条湯のみ」は、「戦争の放棄」をうたう日本国憲法第九条全文がプリントされています。大江健三郎さんや加藤周一さんら九氏がつくる「九条の会」のアピール抜粋も入っています。二個一セットで六百円(送料別)。「九条の会・とき」が普及しています。
湯のみ作製が決まったのは昨年九月、「九条の会・とき」の結成総会でした。加藤さんがデザインを考え、地元の陶芸工場が大量型で作っています。 加藤さんは、陶芸家になって十六年。玄関に「創杜(そうとう)陶芸」の看板がかかり、なかには作品を焼く窯があります。炎によって窯のなかで色が変化する伝統的作品の一つ「志野陶器」づくりなどに取り組みます。 憲法を守りたいという加藤さんの原点は、戦後の体験です。 「軍事徴用で工場に駆り出された父は、そのために体を壊し、戦後すぐに亡くなりました。三十五歳でした。私はまだ三歳でした。生活が苦しいなか、母は二人の息子を育てるために必死に頑張りました。生活保護も受け、なぜぼくは給食費を払わなくていいのかと不思議に感じた体験もありました。だから、平和、戦争の問題になると黙っていられないのです」 ◎政治変えたい「九条変えろ」「憲法は古い」といいだす政治家には、怒りがいっぱいです。「自衛隊の海外派兵や年間五兆円もの軍事費、消費税増税、教育基本法の改悪、低い年金の問題など、憲法と現実の矛盾をとても感じます。あらためて憲法を大切にし、いまの政治を変えていきたい」と話します。 |