2005年1月6日(木)「しんぶん赤旗」

イラク大統領 選挙延期ありうる

国連の判断次第との見方


 【カイロ=小泉大介】イラク暫定政府のヤワル大統領は四日、今月三十日の暫定国民議会選挙投票を前に治安が急速に悪化している情勢をうけ、国連の判断次第では選挙の延期もありうるとの見方を示しました。三日には同政府国防相も、全国民の投票を保障するため延期を容認する発言をしており、政府内部で延期論が急速に台頭していることを物語っています。


 他方でアラウィ首相は五日の記者会見で、選挙を「日程通りに実施する方針だ」と述べ、延期しないことを改めて強調しました。

 ヤワル大統領はロイター通信とのインタビューで、「選挙実施が可能かどうかの見極めは、国際社会の信頼をもつ国連に責任と義務がある」「もし多くの住民が投票できない事態となれば、選挙は成功したことにならない」と述べました。

 同大統領はこれまで、占領政策正当化のため選挙の予定通りの実施をめざす米政権に同調する立場をとってきました。それだけに、今回の発言は米国にとって大きな打撃となります。

 四日には、米軍による中部ファルージャ総攻撃に抗議して選挙ボイコットを決定しているイスラム教スンニ派有力組織、イスラム聖職者協会や同スンニ派最大政党のイラク・イスラム党などがバグダッドで会合を開催。「現在の複雑で困難な状況下で選挙を実施すれば、イラクの広範な国民を排除することになり、国の分裂をもたらす」との声明を発表し、選挙ボイコットの立場を再確認しました。

 米占領下のイラクの治安悪化は深刻さを増しています。五日にはバグダッド南方のヒッラで警察学校への自爆テロがあり、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによれば少なくとも二十二人が死亡しました。今年に入ってからの武装勢力の攻撃や爆弾テロによる死者は九十人を超えています。

 武装勢力による米軍への攻撃も激しさを増しています。四日にはバグダッドで道路脇の爆弾が爆発し米兵三人が死亡。バグダッド北方バラドでも爆弾攻撃で米兵一人が死亡しました。西部アンバル州でも戦闘で米海兵隊員一人が死亡しました。昨年三月のイラク戦争開始以降の米兵死者総数は千三百三十八人に達しています。



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