2005年1月5日(水)「しんぶん赤旗」

在日米軍の再編

日米の調整本格化

戦略合意へて春にも最終案


 在日米軍再編について政府は今年、米側との調整をいっそう加速させる方針です。二月にも外交・軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で「戦略合意」を交わし、具体的な再編案の協議を本格化。早ければ春にも最終合意しようとしています。

一体化促進狙う

 ブッシュ米政権は、先制攻撃戦略をいっそう迅速で効率的に発動するため、全世界的な軍事態勢の見直しを進めています。在日米軍再編はその一環で、地球規模での米軍戦力投入拠点としての司令部機能の統合・強化、海外での共同作戦をにらんだ米軍と自衛隊との一体化の促進が狙いの中心です。

 政府は、在日米軍再編の日米協議について、(1)戦略目標(2)米軍と自衛隊の任務・役割分担(3)具体的な再編案―の三段階で議論を進める方針です。

 早ければ二月にも開く2プラス2で、戦略目標と日米両軍の任務・役割分担について「戦略合意」として確認したい考えです。具体的な再編案については、昨年の日米両政府の審議官級協議で、今年春をめどにまとめることで合意したとされています。

 一方、昨年末に来日したローレス米国防副次官は、自民党の額賀福志郎・元防衛庁長官との会談で、在日米軍再編の最終結論は今年十月ごろをめどに出す考えを示し、日米協議がずれ込む可能性も示唆しています。

 日米協議への対応については、自民党の日米安保・基地再編合同調査会(額賀福志郎座長)がすでに昨年末、「論点案」をまとめています。

地球規模の作戦

 「論点案」は、「米国との協議の主要項目と達成目標」として、昨年末の新「防衛計画の大綱」で海外派兵の本来任務化が打ち出された自衛隊と、先制攻撃戦略に基づく軍の変革(トランスフォーメーション)を進めている米軍との「役割・任務の調整」を強調。「日米政府間における新たな日米安保共同宣言の必要性」をうたい、地球規模での日米共同作戦に道を開く狙いを明らかにしています。

 また、新「防衛計画の大綱」とともに決定された新「中期防衛力整備計画」は、今後五年間の軍事費総額(二十四兆二千四百億円程度)とは別に、「特に必要があると認める場合」に最大一千億円の支出ができるとしています。同経費は、在日米軍再編のために支出されるもので、政府が本腰を入れて取り組む姿勢を示すものだと報じられています(「産経」昨年十二月十七日付)。


これまでに浮上している主な在日米軍再編案

 ▽陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)への移転▽横田基地(東京都)の第五空軍司令部とグアムの第一三空軍司令部の統合▽在沖縄海兵隊の一部のキャンプ富士(静岡県)や陸上自衛隊矢臼別演習場(北海道)などへの分散・移転▽厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊と夜間離着陸訓練(NLP)の岩国基地(山口県)への移転▽普天間基地(沖縄県)の嘉手納基地(同)や下地島(同)などへの移転――など。



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