2004年12月31日(金)「しんぶん赤旗」

安心な地域どう作る


 三十日、奈良の小学校一年生女児誘拐・殺害事件で新聞配達員の男性容疑者(36)が逮捕されたことを受け、識者から次のような談話が寄せられました。


人のつながり回復へ

 教育評論家、岩辺泰吏さんの話 今年は、子どもたちを対象にした無残な犯罪が非常に増えました。最近、子どもたちを外で遊ばせるときに、親が一緒についている光景をよく見かけます。子どもたちをどう守るか、安心できる地域をどうつくっていくのかは、切実な問題になっています。

 いま日本という社会が一つの“変動期”にあると思います。長く続く不景気、リストラ、若者の就職難…。社会全体が不安定で先行きが見えず、その一方で、国の指導者たる政治家たちの無責任な姿がありありと映し出され、おとなだけでなく若者、子どもたちを、いっそう不安にしています。「勝ち組か負け組か」との競争をあおるだけの政治が進んでいます。

 こうした閉塞(へいそく)的な社会状況のもとで、一番弱い子どもや高齢者をターゲットにした犯罪が増えているといえるのではないでしょうか。

 子ども・若者の生きる力と希望をはぐくむためにも、人と人の結び付き、信頼関係をどう回復していくのか、いまこそ家庭や学校、地域が、正面にすえて、共同するときではないでしょうか。

児童ポルノ規制必要

 ジャーナリスト、大谷昭宏さんの話 容疑者が逮捕されたことで、とりあえず子どもたちが年末、年始を安心してすごせるようになったと思います。しかし、こうした異常な児童性愛者によって、子どもたちが犠牲になっている現状はしかたがないではすみません。

 日本は児童ポルノが野放しになっていることで国際的にも批判をあびています。世界的な流れを真剣に受けとめて、先進国にふさわしい、きちんとした規制の仕組みをつくるべきです。

 また、犯歴のある児童性愛者が子どもと平然と接触できる状況について、真剣に議論をしていかなければならないときになってきていると思います。

 アメリカでは多くの州で、こうした人物が出所する場合は、ある程度居住地や行動を制限し、定期的にカウンセリングを受けさせ、地域の人たちにもその情報を提供しています。イギリスもこうした人物には法的に厳しい措置をとっています。

 これは本人の人権との関係で非常に難しい問題ではありますが、だからといって子どもを危険にさらしていいのでしょうか。犠牲になった子どもは運がわるかったではすまないと思います。

再発防止にむけて

 女児が通っていた小学校の地元の山本健・富雄第三自治会長(68)の話 昨日も学校へ行って、何とか年内に犯人が捕まってくれたらいいのになあ、と先生たちと話してきました。今日、容疑者逮捕というニュースを見て、ほっとしています。これまでは、よそで事件が起こっても他人事みたいに思っていました。大阪の池田小学校の事件のあと、小学校に見張り小屋を造って交代で番をしてきました。今後このような事件が起きないようにどうしたらいいのか、みんなで考えなくてはいけないのでしょうが、難しい問題です。



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