2004年12月30日(木)「しんぶん赤旗」

ビラ配布不当逮捕 「朝日」社説に違和感あり


 二十九日付の「朝日」社説が、東京都葛飾区のマンションで日本共産党のビラを配布した男性が逮捕された事件をとりあげました。この事件を無視せず、社説で取り上げたことに大いに注目しました。

 「朝日」は、東京・立川市の自衛隊官舎に反戦ビラを配布し、今回と同じように「住居侵入」で逮捕・起訴された事件で東京地裁八王子支部が無罪判決(十六日)を出したときには社説(十七日付)で見識を示しました。しかし、今回の論理には、違和感を感じないわけにはいきません。

 見出しは「配る作法、受け取る度量」。そして「ビラのまき方に配慮がない。無神経に各階を歩き回らず、1階の集合ポストに入れれば済む」「『弾圧だ』『権力の暴走だ』とことさら騒ぎ立てれば、鼻白む人も多い」。「この程度のトラブルで逮捕し、勾留すべきなのか」と警察に疑問は示しつつも「配る方は節度を持つ。受け取る方は度量を持つ。そうならないものか」と結論づけています。

 この論理でいけば、結局、今回の事件はビラの配り方、受けとり方の問題といういわば市民の「トラブル」に収れんしていきます。

 前出の無罪判決のさいの十七日付社説はこう指摘していました。

 「刑罰をもって報いるほどの悪事ではない。判決はそう結論づけた。明快な判断である」「くだらない意見だと思えば(ビラを)捨てればいい。そんなところにまで警察が踏み込むのは危険きわまりない。判決はそう語っている」

 今回の事件でも刑罰に問う理由はまったくありません。

 逮捕された男性は、マンションの共用廊下部分を歩いて居室ドアの郵便受けにビラを配布したにすぎず、配布したのは、マンションに「張り紙」で禁止していたという「チラシ・パンフレット等広告の投函」ではありません。前出の判決で「政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹をなす」とされた政治問題のビラでした。男性はプライバシーや住居の平穏を害したわけでもありません。

 こんなビラ配布で警察が逮捕・勾留し、家宅捜索までする。そんなことが民主主義社会で許されるのか――。それが問われている本質ではないでしょうか。(歩)



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