2004年12月30日(木)「しんぶん赤旗」 サービス残業代 3年半で是正447億円本紙調べ 職場に喜びの声
残業しても割増賃金を支払わない企業の犯罪、サービス残業(ただ働き)を告発、是正するとりくみが今年も大きく前進しました。厚生労働省が“サービス残業根絶通達(四・六通達)”を出した二〇〇一年四月から今年三月の支払額は、四百二十七億円で、是正した企業数は二千二百社を超えていましたが、その後、さらに是正がすすみ、四百四十七億円にのぼっていることが本紙の調べで明らかになりました。 今年四月以降の主なものでは、自動車用スパークプラグ大手の日本特殊陶業(名古屋市)が全従業員の三分の一の千七百三十三人に約五億七千六百万円を支払いました。 十一月には、東京電力が東京都千代田区にある本店労働者の九割近い二千八百人に十四億四千百万円のサービス残業があったと発表。東電は本店以外の全社(労働者数三万五千八百人)についても、来年三月までに調査すると表明しています。 このほか関西電力(大阪市)も十一月、複数の事業所でサービス残業があったとして、労基署から是正勧告を受けていたと発表。京都事業所では、二十日に従業員の九割、六百三十三人に十二月分の賃金と過去三カ月分のサービス残業代を支払い、一カ月の一人平均は一万五千円を超えるといいます。 職場では、「賃金が毎年目減りしていたなかでお年玉になる」「労基署の是正勧告や組合のとりくみで仕事を時間内に終わらせる方策がとられるようになった」と喜びの声があがっています。 厚労省は十一月を「賃金不払い残業根絶キャンペーン月間」に設定。悪質な企業には、労働基準法違反(割増賃金未払いなど)で家宅捜索をしました。複数の店舗で労資協定を超える時間外労働を強いたうえ、割増賃金の適正な支払いを怠った疑いで、東京労働局が大手家電量販店ビックカメラの本部や店舗など四カ所を捜索しました。 「月間」で実施した無料相談ダイヤルでは、全国で千四百三十件の相談があり、残業代が一切支払われていないという訴えが42%にのぼりました。 日本共産党は、国会でサービス残業問題を粘り強くとりあげ、根絶すれば百六十万人の雇用の拡大につながることを職場実態をもとに一貫して求めてきました。 根絶「通達」を財界が攻撃日本経団連(奥田碩会長)は、サービス残業についての労働者や家族の告発、労働局の監督・是正指導を不満とし、「四・六通達」を攻撃する挙に出ました。 十四日発表した経営労働政策委員会報告は「これまで企業ごとになんら問題なく対応されてきた事項についてまで、突如…指導監督を強化」したとかみつき、サービス残業の根絶に背を向ける姿勢を示しています。 厚労省「通達」と「指針」 サービス残業根絶に向けた「通達」は、〇一年四月に出され、始業・終業時刻を使用者が記録するなど使用者が労働時間管理を適正に把握するよう求めています。〇三年五月の「指針」は、通達の内容をさらに発展させ、サービス残業を前提とした業務が行われているような場合は業務体制や業務指示の見直しを求め、責任体制の明確化とチェック体制の整備を提起しています。 |