2004年12月26日(日)「しんぶん赤旗」
新潟県中越大震災で農地や農道に甚大な被害が出ました。被害にめげず春の稲の作付けに間に合わせようと、被災した農家は共同で懸命の努力をしています。小国町法末(ほうすえ)地区を歩きました。新潟県・村上雲雄記者
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「耕作ができなければここに住む意味がなくなる。しがみついても田んぼを残さなければ生きてきた証しがない」。こう語るのは同集落の農家・内山恒郎さん(78)です。
同集落は、地震で町へ通じる幹線道路が崩落。五十二戸の集落中十五戸が全壊、大規模半壊・半壊が二十七戸になり、ほぼ全戸が被害を受け、この冬は別の地区の仮設住宅で過ごします。
三十ヘクタールある集落の棚田は三分の二以上が崩れ、亀裂が入り、農道も崩落しました。田植えのために棚田の修復は待ったなしです。
国の災害復旧工事の査定を待っていると工事着手が遅れ、完成まで数年かかります。このため、同集落の営農生産組合では、組合員が中山間地域直接支払い制度交付金を拠出しあい、自力で復旧工事を始めました。
組合員の大橋昭司さん(67)は「先祖代々この地で耕作してきたのに自分の代で終わりにできない。損得でなく何としても作らなければ」といいます。
自力の復旧工事がかなり進み、春の作付けの見通しがたつ農地も出て、農家を励ましています。
大橋峰好さん(74)は「農道が通るようになってまるっきり気分が違いわくわくしてきた。もう耕作はできないとトラクターの購入契約を解約したが、最近契約し直した。だめだと思っていた野菜を畑からもってこれた」と笑みがこぼれます。
春の作付けに間に合わせるには、雪が積もるまでに少しでも多く工事をしなければなりません。しかし、同組合が所有する中型ショベルカーは一台のみ。重機を増やすには、リース代やオペレーターの日当、燃料代がかかります。組合が自発的にとりくむ工事のため国の補助はなく、町が補助すれば全額町負担になります。
こうした実情を同組合は、日本共産党国会調査団に訴えました。党町議団も議会で取り上げてきました。大橋義治町長は、同集落との懇談の席上、町独自に修復工事費に予算をあてることを言明。二十三日にはとりあえず、中型ショベルカーとブルドーザー各一台を集落に配備しました。
同組合のオペレーター・内山義美さん(62)は「雪が積もれば工事ができないので必死だ。山の奥の農道は終わった。一人でも農業をやめる人が出ないようにしたい」。
内山正夫副組合長(57)は「共産党議員は住民のためにみんな一生懸命やってくれるので期待している。国会議員との懇談はありがたかった」といいます。大橋隆幸組合長(60)は「他の党はきてくれないが、共産党は現場まできて細かく見てくれる。支援を得ながらも自力で何としても農業を続けたい」。
今井賢市町議は「豪雪が懸念される条件のもとで、被害と出費の拡大を防ぎ、被災者に希望を与えるうえでも、国は道路や農地などの復旧工事の査定前着工をもっと実施しやすくし、公的支援を拡大すべきです」と強調しています。