2004年12月21日(火)「しんぶん赤旗」
埼玉県議会は二十日、侵略戦争を美化する教科書編集を手がける「新しい歴史教科書をつくる会」の前副会長、高橋史朗・明星大教授(54)を県教育委員に選任する知事提案を、自民党(六十五人)と地方主権の会(民主党系、九人)などの賛成多数で同意しました。日本共産党(四人)、公明党(十人)、民主党(四人)は反対、地方主権の会の一人が退席しました。「つくる会」幹部経験者の県教育委員起用は全国で初めてです。
人事案件は委員会審議や質疑・討論など正規の審議手続きを省略するのが埼玉県議会の通例となっています。議案の取り扱いを審議する議会運営委員会で、日本共産党の角靖子議員は「今回の県教育委員人事は県民の強い関心をよんでいる。適格性をしっかり審議すべきだ」とのべ、正規の審査手続きを踏むことを提案。採決の結果、審査の省略に反対したのは日本共産党と民主党のみで、質疑・討論抜きの採決強行が決定しました。
県が高橋氏を県教育委員に選任する意向だと報道されて以来、県内外から多くの反対の声があがり、県広報公聴課によると、二十日午前九時までに電話やファクスなどで二千二百七十四通の意見が寄せられ、うち千九百五十九通が高橋氏の選任に反対する意見でした。
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日本共産党議員団は同日、高橋氏を選任した上田知事を批判し、「今回反対の声をあげ運動を展開された教育関係者や良識ある県民のみなさんと力を合わせ、憲法と教育基本法に基づく民主的な教育の推進に引き続き全力をあげる」とする声明を発表しました。