日本共産党

2004年12月20日(月)「しんぶん赤旗」

道路公団が“圧力”

請負業者に特定企業資材

橋梁工事 他社製なら「いやがらせ」


 日本道路公団発注の橋梁(きょうりょう)工事に使用される資材で高い使用実績を持つ企業と公団側の異常な癒着が本紙の調べで浮上しました。公団側が工事請負業者にこの企業の材料を使わざるを得ないよう“圧力”をかけたり、公団の技術系幹部が公団所定の手続きを怠ってこの企業の特許出願の発明人に名前をつらねるなど、公団側の不透明な肩入れが目立ちます。

シェア6割占める

 同公団との不透明な関係が浮上しているのは、プレストレスト・コンクリート(PC)橋梁工事に使う建設資材卸会社(本社、東京・港区)。日本共産党の仁比聡平参院議員事務所が国会質問準備のために同公団に資料請求した文書が、この会社にそのまま流れていたことが本紙の調べで判明しています(十二日付)。

 同社は、PC橋梁工事で使用するPC鋼材をコンクリートに定着させるための定着具を販売。この定着具の各社別の使用実績(二〇〇三年度までの五年分)をみると、同社の扱うものは国土交通省発注の橋梁工事では一割強のシェアしかないにもかかわらず、同公団発注工事では約62%と圧倒的なシェアを占めています。二位は12%程度、残りは10%以下のシェアです。

 中堅建設会社のある幹部は、「公団で詳細設計などの打ち合わせをした際、この会社以外の製品を使いたいというと、ほかの話にかこつけていやがらせをされた。そのため多くの請負業者は、公団の工事では、最初からこの会社の扱うものを使っている」と明かします。別のPC橋梁工事業者は「定着具は主なもので七種類ぐらいあり、基本的には同等品で性能は変わらない。後発のこの会社が、道路公団でなぜこれだけ強いか、業界の七不思議だ」と語ります。

特許出願でも疑惑

 さらに、同社が出願人となっている特許出願三十件で発明人に同公団の技術系幹部が名前を連ねていたことも本紙の調べでわかりました。同公団の「規程」では、公団役職員が発明した場合、「すみやかに」届け出て特許権を公団に譲渡する原則です。これは、公団の知的財産権を保護するためです。

 しかし、この技術系幹部は、三十件中三件で届け出を提出していませんでした(十六日正午現在)。提出した二十七件中二十六件も出願から短いものでも一年弱、長いもので約五年も遅れていました。その多くは同公団内部で届け出のずさんさが問題になった以降の今年十一月十六日付となっていました。

 同公団幹部は「公団に手続きどおりすぐに届けないで、特定の企業の発明にこれほどたくさんかかわっているのは異常だ。特定企業と癒着しているとみられてもしかたがない」と指摘します。

 日本道路公団広報・サービス室は本紙の取材に、同社の定着具の使用実績が高いことについて「受注企業の判断ではないか」などと回答。同公団の技術系幹部が同社などの特許出願で発明人になっている問題については「現在、監察室で事実関係を調査中」と答えています。



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