2004年12月19日(日)「しんぶん赤旗」
気候変動枠組み条約第十回締約国会議(COP10)では、各国の温暖化対策や京都議定書後の温室効果ガス削減の枠組みを話し合う専門家セミナーの来年開催で大筋合意したものの、米国の抵抗を受け、京都議定書後の温室効果ガス削減の枠組みづくりに「結びつけない」との条件がつけられました。
会議で浮き彫りになったのは、京都議定書を離脱してもなお地球温暖化防止に向けた国際的な取り組みを妨害し続ける米国の否定的役割です。
米国はブッシュ政権になった二〇〇一年三月、京都議定書からの一方的な離脱を表明。世界の温室効果ガス排出の25%を占め最大の排出国である同国の議定書離脱は、議定書の実効性を疑わせることにつながるため、温暖化防止の取り組みを深刻な危機に陥れました。
それにもかかわらず、地球温暖化を防止しようという圧倒的多数の各国政府や国際機関、環境NGO(非政府組織)をはじめとする市民団体、個人の努力で、米国の離脱表明直後の〇一年七月、ボン会議で各国政府は京都議定書の運用ルールに合意。議定書は息を吹きかえしました。
こうした世界の努力によって温暖化へ取り組みが前進しているにもかかわらず、米国は、議定書離脱後も温暖化防止への取り組みを妨害し続けました。
気候変動枠組み条約にはとどまる米国は、今回のCOP10でも、焦点の議定書後の温室効果ガス削減の枠組みを話し合うために、議長国アルゼンチンが提案した専門家セミナーの来年開催について、それが議定書後の枠組みづくりに結びつくことを「時期尚早」と否定。合意内容が弱められる要因となりました。
ただし、議長国アルゼンチンなどは、セミナー開設の合意を「よい出発点」と歓迎。セミナー開催が出発点となって今後の温暖化防止のための取り組みや将来の枠組みづくりが進む可能性もあります。
岡崎衆史記者