日本共産党

2004年12月18日(土)「しんぶん赤旗」

歩道橋事件

明石署元幹部ら実刑

神戸地裁 元市幹部も有罪

「危険を漫然と放置」


 兵庫県明石市で二○○一年七月に行われた市主催の花火大会で、見物の乳幼児など十一人が死亡、二百四十七人が負傷した歩道橋事件で、業務上過失致死傷罪に問われた元明石署地域官金沢常夫被告(55)ら五被告の判決公判が十七日、神戸地裁でありました。森岡安広裁判長は「事故は発生しないと軽信し、危険を漫然と放置した」と述べ、金沢被告と元警備会社支社長新田敬一郎被告(63)に禁固二年六月(求刑禁固三年六月)の実刑を言い渡しました。

 元同市市民経済部長分玉光洋被告(62)ら市側三被告は禁固二年六月、執行猶予五年(求刑禁固三年六月―二年六月)としました。市側三被告は同日控訴、残る二被告も控訴する方針。

 雑踏事故をめぐり、警備担当の警察官が有罪判決を受けたのは初めて。主催者の刑事責任が認定されたのも異例。五被告は無罪を主張していました。

 判決はまず、「歩道橋の構造などから大混雑が容易に予想されたのに、警備計画では混雑防止の有効な方策や主催者側と明石署の連携体制が取られなかった」と準備段階の問題点を指摘しました。

 その上で五被告について「当日は歩道橋に観客が滞留し、事故の危険が予見できた。流入規制や警察の出動によって事故を未然に防ぐ注意義務があった」と認定。「被告らが責任を自覚し、流入規制を速やかに行う意識を持っていれば、事故は回避できた」と判断し、市と警察、警備会社による過失の競合を認めました。

 さらに「分玉被告らは警備会社と警察を過度に信頼し、花火見物を決め込んだ。金沢被告は安全確保の最後のとりでの役割を果たさなかった」と批判しました。

 不起訴となった当時の明石署長の責任にも言及し、「十分な警備体制を構築できなかった責任のかなりの部分が署長にあることは否定できない」と指摘しました。

 明石歩道橋事件 二○○一年七月二十一日夜、兵庫県明石市主催の花火大会会場とJR朝霧駅を結ぶ歩道橋に六千四百人以上の観客が滞留し、多数の死傷者を出す大規模な転倒事故が発生。九遺族十九人が県などを相手に、総額約九億五千万円の損害賠償を求め提訴しています。




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