2004年12月17日(金)「しんぶん赤旗」
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漫画「国が燃える」で南京大虐殺の描写が削除・修正された問題で、日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会は十六日、「漫画に異例の削除があった」として、「『国が燃える』問題の本質は何か」と題した集会を開催しました。約六十人が参加しました。
南京事件研究者の笠原十九司都留文科大学教授が講演。笠原氏は、南京大虐殺が歴史学界の定説であり、家永教科書裁判など一連の判決でも歴史事実として認定されていると指摘。
漫画で削除・修正されたシーンについてもほとんどは「削除・修正の必要はなかった」と結論付けました。
笠原氏は「今回の対応は虐殺否定派の圧力に屈してしまったことになる。(出版側は)自信をもって対処する必要がある」と強調しました。
「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長は、右派・右翼が日本の戦争犯罪にかかわる記述などに攻撃を繰り返し、「教科書会社への脅迫ファクスは三十センチ以上になった」などの事例を紹介。
いま中学の教科書に具体的な記述が残っているのが南京大虐殺だけとなっており、「集中して攻撃してきている」と報告しました。
「国が燃える」問題 集英社の雑誌『週刊ヤングジャンプ』連載の漫画「国が燃える」(本宮ひろ志氏作)が南京大虐殺を描写したところ、地方議員グループや右翼団体などからさまざまな抗議を受け、同社は虐殺描写の大幅な削除・修正を行うと発表。連載も一時休載していました。