2004年12月16日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十五日、国会内での記者会見で、拉致問題での日朝交渉について記者団の質問に答え、次のようにのべました。
―昨日の参院拉致特で「交渉」の一文が入り決議に賛成したということだが、あらためて説明を。
志位 衆議院拉致特別委員会で決議案が提起された際に、私たちがいちばん問題にしたのは、交渉を続けることによって解決するという肝心の点が、決議案になかったことでした。ですからこの問題点を私たちは提起し、衆議院の段階では棄権しました。
参議院の拉致特別委員会ではわが党の代表が、この問題を提起した結果、最終的には決議案に「粘り強い交渉による解決」ということが明記されました。それで、賛成の態度をとりました。
―(経済)制裁も選択肢の一つにあるということか。
志位 私たちは、拉致問題をめぐって、新しい重大な局面がいま生まれていると認識しています。
八日には横田めぐみさんの「遺骨」とされた骨が偽物だった、九日には松木薫さんの「遺骨」とされた骨も偽物だったということが相次いで判明しました。国民のなかに強い怒りが広がっているのは当然のことです。
いま起きていることはどういうことかというと、五月に再度の日朝首脳会談があり、そのときに金正日国防委員長が、「白紙に戻して再調査をする」と言明し、先方から調査の結果として新たな「資料」がこちらに出され、その中核的な位置を占めていた「遺骨」なるものが虚偽だったということですから、事態は深刻です。
しかもその虚偽の「資料」の提供に、拉致の実行にかかわった「特殊機関」が介在していたということも、一連の経過を通じて明りょうになりました。
この新しい局面のもとで、私たちの態度としては、九日の党首会談での「申し入れ」で提起したように、北朝鮮側の交渉当事者を、拉致問題に十分な責任と権限を持った人物とする、そして交渉の質を抜本的に強化することによって、事態を前向きにすすめるべきだという提起をいたしました。
また、こうした新たな局面での対応として、今後の交渉の推移と、北朝鮮の態度いかんによっては、交渉による解決を成功させるために、経済制裁を取ることが必要になる場合があり得るという判断を持っています。
―経済制裁は現時点では時期尚早だということか?
志位 いますぐ経済制裁を発動すべきだという立場ではありません。いまやるべきは、北朝鮮側の交渉当事者を拉致問題に十分な権限と責任を持った人物に代える、交渉の質を抜本的に強化することを、正面から北朝鮮に提起することです。
そういうことを含めて日本側が道理ある交渉の努力を尽くしたけれど、それが大きな壁につきあたった場合の措置として、交渉による解決をはかることを目的にして、制裁もありうるということです。いまは、(日本政府による)精査が終わっている段階ではなく、精査をしたうえで北朝鮮に日本側が政府として公式の提起をしている段階でもありません。それにたいする向こう(北朝鮮側)の公式の回答が来ている段階でもない。いますぐ経済制裁を発動というのは、道理がないと思います。