日本共産党

2004年12月12日(日)「しんぶん赤旗」

10代、20代が職場変えた

広島 労組結成「いい菓子作りたい」

過酷な残業130時間未払い分是正約束


 毎月八十時間から百三十時間もの残業―。過酷な長時間労働とサービス残業(ただ働き)が横行する職場で、十代と二十代の青年たちが労働組合を結成しました。先月おこなった初めての団体交渉では、未払い残業代をさかのぼり全額支払うことを約束させ、要求実現へ歩みはじめています。中国四国総局・酒井慎太郎記者


 広島市内にある和洋菓子の製造卸会社。パートを含め従業員約四十人の職場で十月、地域労連ひろしまに加盟する労働組合が誕生しました。

 委員長を引き受けたのは池田義彦さん(26)。昨年四月に入社しました。組合員は入社二年未満の正社員が中心です。

睡眠5時間

 池田さんの担当は商品配送で、販売店へ搬入します。午前七時から午後三時までに約百五十キロを走り、配達時間の指定もあって、常に時間に追われています。「現場で走っている。昼飯は取れたり取れなかったり…」

 帰社してからも仕事は続きます。翌日の配送の仕分けと荷積み、伝票入力の作業…。終わるのは夜九時以降。一日十四時間労働を週六日こなし、繁忙期ともなると終業は早朝四時になることも。睡眠は平均でも五時間ほど、といいます。

 「体脂肪率は一ケタ」と苦笑する池田さん。入社当時、六十五キロ(身長百七十二センチ)あった体重は、過労と食欲不振で十キロ以上も減りました。過酷な勤務に後輩は次々と去っていきました。

 働く環境を改善させなければ、と池田さんに決心させたのは同僚(23)の一言でした。「辛抱してよくやってますね」

 「ハッとしました。体も心もボロボロ。我慢はもういいだろう」。そして五月、三カ月分のタイムカードの写しに給与明細書を付けて労働基準監督署に告発しました。

 しかし、自分たちの願いを会社にどう要求していくかは経験がありません。思い悩んでいたとき、広島県労連労働相談センター(塚田博所長)の活動を知りました。

 大山泰弘副所長の助言も受け、職場の悩みを聞きました。青年は「この会社じゃ、やっていけない」と口をそろえ、「いいお菓子を作りたい」という労働者も「人手が少なく、早く作ることを一番に求められる。昼休みを削って、一・五人分の仕事で応えてる。会社は現場の意見を聞いてほしい」と訴えました。

娘と風呂も

 労基署の指導に加え、会社側は団交で、サービス残業は過去にさかのぼっての支払いに応じると約束。知らされないため取れなかった有給休暇は権利と日数が個別に通知されることに。就業規則は、誰もが閲覧できるようにすると答えました。

 働き方をめぐって妻とケンカが絶えなかったという池田さん。仕事も新しい要員があてられ、早く帰れるように。「今、妻は笑顔で迎えてくれます。体も休めるし、二歳の娘と風呂にも入れる」

 若い組合員らで知恵と力をあわせる日々です。池田さんは語ります。「要求が通り、少しずつ改善されてます。それが糧になって仕事のやりがいにつながる。組合活動への理解を広げて、無法な職場に逆戻りしないよう活動していきたい」



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