2004年12月8日(水)「しんぶん赤旗」
生後二十カ月以下の牛のBSE(牛海綿状脳症)検査除外の諮問をうけた内閣府の食品安全委員会が七日開いた意見交換会で、プリオン研究でノーベル賞を受賞した米国のスタンリー・プルシナー博士(カリフォルニア大学教授)が講演し、「全頭検査が合理的」「何カ月以下はプリオンがいないとはいえない」と強調しました。
プルシナー博士は、プリオン病研究でわかった新しい知見や、最新のBSE検査方法(CDI)を紹介。BSE対策としておこなわれている検査について、「(生後)三十カ月以上、二十四カ月以上だけを検査対象にするというのは、(感染状況の調査の)サーベイランスならいいが、食品の安全ということからは、適切ではない」と強調しました。「だれも検査していない牛肉を食べたいと思わないでしょう。(全頭検査の)日本のほうが米国より牛肉が安全だということを自分の子どもたちにいうのはつらい。米国はなぜ日本と同じ検査をしないのか」と、ユーモアをまじえて語りました。
BSE検査のあり方については、信頼度が高く高感度で感染をテストできる新しいCDI法に優位性があると指摘。今後、さらに検査の感度を高めていくことや、生きている時期の生体テストができるようにし、血液や筋肉での検査の大切さを訴えました。
意見交換会は、食品安全委員会が、全頭検査見直しの参考にするため開いたもので、約二百五十人が参加。参加者からは「日本の二十カ月齢以下の検査除外がナンセンスだとわかった。BSE感染をださない飼料管理の強化が大事だと思う」などの意見が相次ぎました。