2004年12月7日(火)「しんぶん赤旗」
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「そういわれるとそうだな。協議を打ち切ってしまい(北朝鮮に拉致被害者にかんする疑問などを)ぶつけることができないのはまずいよな。説得力があったよ」
十一月三十日の参院外交防衛委員会。日朝実務者協議をただした日本共産党の緒方靖夫議員にたいし、北朝鮮「制裁」論を叫んでいた他党の議員が質問終了後、相次いで声をかけてきました。
緒方氏は、拉致被害者にかんする北朝鮮側の報告について、韓国から得た情報など独自調査にもとづいて疑問点を提示。「政府の精査結果を示し新たな回答を得て真相の解明をすすめるためにも協議の継続が必要だ。経済制裁は拉致問題の解決の扉を閉ざし、六カ国協議で努力が払われている核問題の解決にとっても逆流をつくることになる」と指摘したのです。
外務省の斎木昭隆アジア大洋州局審議官は「まさにご指摘の点も含めて不可解なことがたくさんある。真相究明に引き続き努めたい」と答えました。
外交の重要課題にたいして冷静で道理と責任ある立場をつらぬいた論戦は、他党議員もうならせる説得力を持っていたのでした。
「いつもいつも現地の調査をして、良い質問をしますね」――塩川鉄也衆院議員が新潟県中越大震災についての質問後、エレベーターで乗り合わせた自民党議員からこんな声をかけられました。話が弾んで、この議員は降りる階を通り過ごして塩川氏と一緒の階で降りていきました。
「パンフレットをコピーさせてください」
塩川氏の議員会館の部屋に総務省の職員が、党宮城県委員会が宮城県北部地震(二〇〇三年七月)のさいに作成した「救援制度活用の手引」を求めて訪れたことも。
十月二十八日の衆院総務委員会で塩川氏がパンフを紹介したところ、麻生太郎総務相も「良いことをやっている」と評価していたからです。“国民の苦難あるところ共産党あり”の立党の精神に立って、被災地の実態を踏まえた質問は他党や政府も注目しました。
臨時国会閉会直後の六日、新潟県長岡市を訪れた高橋千鶴子衆院議員に被災者が声をかけてきました。「宅地被害のことを国会でとりあげてくれてありがとうございます」。同市の宅地被害について高橋氏と紙智子参院議員が取り上げ、「宅地が流出して住宅の基礎が被害を受けたり、住宅が傾いている場合は被災者生活再建支援法の対象になる」(十一月二十四日の参院災害特委)と認めていたからです。
被災地の声を実らせた成果はほかにも少なくありません。
とくに住宅本体への公的支援(個人補償)について、小泉首相も「議論を深めていく」と答え、村田防災担当相も「自治体への支援」を言明せざるをえなくなったのも被災者・自治体の声と合わさった党国会議員団の論戦の力によるものです。
十一月四日に長岡市の避難所を訪れた志位和夫委員長と市田忠義書記局長が会場を出るとき、町内会長が後を追いかけてきてこういいました。
「自民党の避難者が二つぶったまげたことがあると言っている。一つは地震の揺れ、もう一つは共産党の頑張りだ」
五十三日間という短い会期のなかでも確かに刻まれた党国会議員団の論戦と活動。年末から年始にかけて新たなたたかいが始まっています。(おわり)