2004年12月6日(火)「しんぶん赤旗」
「(年金改革にかんする)三党合意にもとづいて小委員会を設置したい」(自民党)
「(消費税導入など)明確になれば設置も検討したい」(民主党)
十一月十八日の衆院厚生労働委員会理事会。社会保障全般の「一体的見直し」を口実に消費税増税のレールを敷いた自民・公明・民主の「三党合意」(五月六日)の具体化に向けた発言が注目を集めました。
七―八割の国民が年金改悪法のやり直しを求めるなか、与党と民主党は改悪法廃止ではなく、さらなる改悪に向けて競い合いを演じました。
民主党が消費税増税などを協議開始の条件として提案(岡田克也代表、十月十三日)すれば、小泉純一郎首相は「解決策を具体的に検討していくことが必要だ」(同十九日)と歓迎。すると民主党は「一ミリ前進だ」(岡田代表)と応じたのです。
日本共産党は、同理事会で「三党合意を国会に押しつけるな」(山口富男議員)と批判しました。
さらに志位和夫委員長は、政府が消費税増税に先だって、「年金財源」を口実に定率減税廃止で三・三兆円の大増税をねらっており、庶民増税押しつけが経済に破滅的な打撃を与えると追及(十月十八日、衆院予算委員会)。定率減税の縮小・廃止―消費税増税という二段階の大増税路線を先駆的に明らかにしたのです。
与党や経済財政諮問会議からも「定率減税の削減にもっとも臆病(おくびょう)になっている」(自民党・柳沢伯夫政調会長代理)などと、大増税路線にたいする懸念や批判の声があがっています。
「民主党内から献金欲しさに財界に政策を売ったのかと声が漏れていると新聞に書かれている」
談合などを取り締まる独占禁止法改定案を審議した十一月二十四日の衆院経済産業委員会。
「経団連が出した案に似ている」(「日経」十二月三日付)と指摘される民主党の改定案に自民党議員からこんな質問が飛び出しました。
「事実無根だ」と抗議する民主党に「火のないところに煙はたたない。事実でなければ怒る必要はない」と自民党――。
しかし、政府案、民主案ともに財界の強い圧力が読み取れます。
公正取引委員会は当初、違反企業に課す課徴金を現行の6%から二倍程度に引き上げる方針でしたが、政府、民主案とも10%にとどまりました。
違反企業が課徴金だけでなく刑事処分で罰金を科せられた場合、政府案では課徴金から罰金の半額を、民主党案では同全額をまけてやる措置も盛り込みました。課徴金の引き上げに反対し、制裁を軽くするよう求める日本経団連の主張に沿った内容です。
国民の立場から追及したのは財界のカネとは無縁な日本共産党でした。
塩川鉄也衆院議員は、課徴金の一番多い違反企業が米国では五百七十億円なのに、日本では十六億円と国際的にもけた違いに低いと追及。違反企業の不当利得を許さないためには16・5%以上の水準に引き上げるべきだと主張しました。政府案が課徴金算定期間の引き上げを見送った点では、竹島一彦公取委員長に「建設団体などの反対があったため」と認めさせました。
結局、両案とも継続審査となりましたが、経団連は「両案あわせてよいものを」と制裁を軽くする修正を暗に求めています。独禁法改正の「骨抜き」を許さないため、日本共産党の論戦が通常国会でも待たれています。
(つづく)