2004年12月6日(月)「しんぶん赤旗」
京都市で開かれている「市民が進める温暖化防止2004」シンポジウムで五日、地球温暖化問題の研究者たちが、温暖化ガス排出の影響が集中豪雨や酷暑の増加となってあらわれていることを報告しました。
「拡大する温暖化被害」がテーマの分科会で報告したのは、気象学者の山元龍三郎・京都大学名誉教授。集中豪雨や酷暑などの災害気象に着目し、一九〇〇年から百年間の日降水量の年間最大値や、最高気温の二十年ごとの発生頻度の傾向を分析しました。
その結果、日降水量の過去百年の上位一位から四位の出現率が、一九四〇年以前では13%以下だったのに、その後の六十年間では21―27%に跳ね上がっていました。山元名誉教授は、「一九四〇年までの最大日降水量の再現期間が四十年に一度なのにたいし、その後は十年に一度という場合もあった。集中豪雨の激化・頻発をしめしている」と報告しました。
酷暑でも、一九八一年以降、最高気温は発生頻度が高くなっていることがわかりました。山元名誉教授は、「温暖化ガスの野放図な排出の結果が、地球規模での平均気温上昇や海面水位上昇にとどまらず、災害拡大につながる」と警告。「河川の堤防などの設計基準の見直しも問題になってくる」と強調しました。
基調報告した宇宙物理学者の池内了・名古屋大学大学院教授は、災害や農業被害、環境・資源破壊などの深刻化をひきおこさないためにも、「予防措置原則」の立場から温暖化ガス削減の努力をつみかさねる大切さを語りました。