2004年12月6日(月)「しんぶん赤旗」
新潟県中越大震災、台風・豪雨災害で日本共産党国会議員団は、現地に入り、住民、行政担当者の切実な要望をふまえて政府に要請し、国会質問でとりあげ、貴重な前進を築いています。その主なものを紹介します。
新潟県中越大震災の被災者にとって、コミュニティーを壊さない形で仮設住宅をつくるというのは強い要望です。
被災地を地震発生の翌日に調査した塩川鉄也衆院議員は十月二十八日、この問題をとりあげました。
塩川 被災した住居から遠く離れた場所ではなく、自宅の庭先への仮設住宅建設も検討するべきではないか。
厚労省社会・援護局長 設置場所の選定は、市町村、県からの申し出があれば相談する。
麻生総務相 被災者の要望にこたえられるように検討すべきだ。
覚張よしひろ党魚沼市議は翌二十九日、質問を報じた「しんぶん赤旗」を手に旧広神村(現・魚沼市)対策本部を訪れ紹介しました。
同本部はそれまでも集落近くへの仮設住宅建設を県に要望していましたが、なかなかいい返事は返ってきませんでした。さっそく県に問い合わせると「地元・集落と村の考えが統一していれば問題はない」と柔軟に対応。同地域では三十戸の仮設住宅が建ち、五日から入居が始まりました。
この地域に限らず、集落がばらばらにならず仮設住宅に入るように配慮されています。
またこの質問も契機に、被災した住宅の修理が終わるまでのあいだ、自宅敷地内にユニットハウスなどを分散型避難所として設置できるようになりました。
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新潟の被災地では、家の形は残っていて、建物被害はそれほどではないものの、宅地や擁壁、周辺の地盤が崩壊し、「住みたくても住めない」という地盤災害が大きな問題になっています。
地盤復旧となると個人で対応するのはほとんど無理。ある町内会が、この地盤被害の復旧を行政に要望しましたが、「そういう制度はない」といわれました。地元では文字通り「壁」にぶつかっていました。
この問題を紙智子参院議員(十一月二十四日)、高橋千鶴子衆院議員(同二十九日)がとりあげました。
紙 民間で造成した擁壁など(公的には)修復できないというが、阪神・淡路、芸予地震のときには二次災害などの公的被害のおそれがある場合は対策をしたのではないか。
国交省河川局長 特例を設けて実施した事例がございます。
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高橋 宅地と市道が入り組んで損壊した場合、公共の力で復旧を。
河川局長 民地部分を含めて復旧工事を行わなければならない。
高橋 行政が地盤調査と復旧計画を行い、そこに国が支援するスキーム(枠組み)を検討すべきだ。
北側国交相 指摘はもっともだ。県、市町村とよく相談してしっかり対応を講じたい。
被災地の党議員は、この議事録を取り寄せ、十二月議会でとりあげて、実現への道を開こうと準備しています。
新潟県小千谷市、十日町市では基幹病院が大きな被害をうけ、入院機能がストップするなど地域医療が危機的になりました。十日町市の中条病院、県立十日町病院は入院患者受け入れをストップし、周辺の市町村とあわせて、人口六万五千四百人の地域に入院できる病棟がないという事態になりました。
十月末の現地調査でつぶさにみた小池晃政策委員長は、十一月四日、九日にこの問題をいち早くとりあげ、提起しました。
小池 (病院の)復旧のためには公的な支援がどうしても必要だ。
厚労省医政局長 大幅な支障をきたしている病院については、国として医療体制の迅速な再建を図って、適切な医療確保にはつとめていきたい。
基幹病院の復興は、住みつづけるうえで欠かせない重要課題です。新潟県も二回にわたる国への要望のなかで、「阪神・淡路大震災の復興支援策と同様に国庫補助率のかさ上げ等の特別措置を講じ、緊急に支援」をと訴えています。
中越大震災では、豪雪に備えた構造によって倒壊こそ免れているものの、内部の損傷が激しく、居住困難な家屋が多くみられました。
川口町の星野町長も、柱は雪国仕様でしっかりしていて建物は建っていても内部はすべて壊れていると訴えていました。
高橋千鶴子衆院議員は、十一月十一日の質問で、建物が建っていても、居住機能を失った住宅は「全壊」認定されることを確認しました。
高橋 柱はしっかりしている、建物自体は建っていても家の内部は壊れている、こういうケースも、基本的機能喪失ということで、全壊として扱われるか。
内閣府政策統括官 住宅が住むことができないということであれば、全壊認定ということになる。
この質問によって実態に即した被害認定への足がかりをつくりました。
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現行の被災者生活再建支援法では、住宅が全壊の場合で最高三百万円、大規模半壊の場合で最高百万円という支援金が出ます。この支援金は住宅の解体・撤去・整地費などと、当座の生活必需品への資金であって、住宅本体の改修とか再建には使えないとされています。これは政府が「個人の財産は補償しない」という考えにたっているからです。
この「壁」を打ち破るために党議員団は阪神・淡路大震災以来、一貫して努力してきました。
豪雨災害をうけて志位和夫委員長が衆院本会議の代表質問(八月二日)で、住宅などの修繕・建て替えへの公的支援を提起したのにたいし、小泉首相は「今後さらに議論を深めていく必要がある」とのべ検討課題にする考えを表明しました。
新潟の被災者・自治体の現地調査を行い、切実な要望を踏まえて十一月九日、志位委員長と市田忠義書記局長は村田吉隆防災担当相に緊急に申し入れ。村田担当相は、県や市町村が住宅再建などで独自の支援措置をとった場合は「国として財政的支援を行うことを検討したい」と明言しました。
新潟県川口町の星野和久町長は翌十日に、「(個人住宅支援へと)矢がだんだんと中心に向かい始めている感じがする」(党の要請の場で)と語りました。
新潟県知事や被災した各市町村長もそろって国の制度で支援するよう要望しています。
臨時国会閉会日の十二月三日、志位委員長は議員団総会の場で「(個人補償を)ぜひ実らせるために、ひきつづきわが党の重要課題としてとりくんでいきたい」と表明しました。
政府はこれまで、床上浸水による被害は全壊・半壊にあたらないとして被災者生活再建支援法の対象外にしてきました。
しかし、十月二十八日付の内閣府通達で、(1)吸水膨張した畳や浮き上がったフローリングの床材(2)機能を損失した建具や浴槽、台所の流し台など水回りの衛生設備(3)強風により屋根が損壊して吸水・膨張した天井板など(4)泥流により損傷などを受けた柱や基礎部分――を例にあげて、床上浸水による被害も損傷として認定し、支援法による支援金の支給対象とすることを明らかにしました。
高橋千鶴子衆院議員は十一月十一日にこの点を改めて確認しました。
高橋 畳も壁も天井もだめというように損傷として認められる部分が積み上がっていったら、建物を解体しなくても全壊とみなすという理解でいいか。
村田防災担当相 全壊または大規模半壊の適用がある。
この問題について日本共産党は、新潟、福島、福井各県の集中豪雨で七月二十二日、家屋浸水も支援法の対象とするよう、井上喜一防災相(当時)に緊急に申し入れ、国会質問でも、繰り返し、支援法の弾力運用と改正を求めていました。
党国会議員団の活動は、被災地の住民を大きく励まし、展望を与えています。志位委員長、市田書記局長の「被災地を訪問しての五つの緊急提案」はじめ、現地調査をふまえて「何をどうしたらいいか」を整理し、方向が明確になりました。
国会で被災地の状況を生々しくとりあげ、住民の要求を示し、答弁を引き出す――その答弁を生かし、地元の党組織、議員が住民といっしょになって行政にはたらきかけていく。党国会議員団は被災地の住民ががんばるよりどころをつくっています。
住宅再建するにも宅地全体が崩落し、個人ではどうにもならない実態もあります。国会議員団とともに、被災者に光をしめす活動をしたいと決意しています。
▽被災企業への返済猶予や債権放棄などで銀行に指導を(10月26日、佐々木憲昭衆院議員)
▽学校の耐震化、補助率の引き上げを(10月27日、石井郁子衆院議員 11月2日、小林みえこ参院議員)
▽災害による大量の廃棄物の搬出を国の費用で(10月29日、吉井英勝衆院議員)
▽全避難所への医師、看護師、保健師などの医療スタッフ配置、テントや車上避難生活者への訪問を要求(11月2日、吉川春子参院議員)
▽インフルエンザ対策、健保でも自己負担や保険料減免措置を(11月9日、小池晃参院議員)
▽被災地企業に災害時のセーフティーネット保証早期発動、金利減免を、伝統的工芸品産業の支援を(11月10日、塩川鉄也衆院議員)
▽被害を受けた農機具、農薬にも直接補償を(11月11日、高橋千鶴子衆院議員)
▽商工会議所、観光業者らの要望をもとに風評被害対策を要求(11月24日、塩川鉄也衆院議員)