2004年12月3日(金)「しんぶん赤旗」
育児休業の利用は増えているとはいえ、まだまだ取りにくく、在職中出産した女性で取得率73%、妻が出産した男性は0・44%(〇三年)という実態です。仕事と家庭の両立のうえで、育児休業制度の拡充は、女性にも男性にも切実です。
今国会で育児・介護休業法の改正が全会一致で成立し、来年四月から施行されます。主な内容は、期間を定めた契約で働く有期雇用の労働者に適用が拡大されたこと、子どもの看護休暇の制度化などです。
近年急増しているパートや派遣労働者の多くは有期雇用です。これまで有期雇用には原則として育児・介護休業が認められませんでした。昨年の統計では、働いている人のうち、男性の約8%、女性の約22%が一年以内の契約になっています。今回、有期雇用にも適用がひろげられたことは重要な前進です。
しかし、今回の改正で適用されるのは、一年以上勤務し、なおかつ子どもが一歳になる日を越えて引き続き雇用が見込まれる人です。このうち、子どもが二歳になるまでに雇用契約が満了し更新の可能性がない場合は除かれます。
日本共産党国会議員団は審議の中で、有期雇用の多くが、三カ月、六カ月などの短期契約の更新を繰り返している実態を示し、これらの場合も育児休業がきちんととれるようにすべきだと改善を迫りました。
これに対して、尾辻厚労相は、更新の繰り返しで「期間の定めのない契約と実質的に異ならない」場合には、これまでも厚労省の指針(〇二年)で対象となるとしており、改正後も引き続き適用されると答えました。重要な答弁です。
これまで事業主の努力義務だった子どもの看護休暇制度が、今回、義務化されたことも一歩前進です。
小学校就学前の子をもつ労働者は年五日、申し出により取得できるようになります。子どもは急な発熱、病気が多く、働く親は休暇のやりくりが大変で、子どもの看護休暇は切実な要求でした。
日本共産党は育児休業法が制定(一九九一年)される前から看護休暇の導入を求め、二〇〇一年には、看護をはじめ保育所・学校行事等も対象とした年十日以上(一人親は二十日以上)の「家族休暇制度」を提案してきました。その実現のために国会でもくり返し取り上げ、他党の女性議員と連名で要望書を厚労相に提出する(〇一年)など、国民の運動とむすんで取り組んできました。今回の改正はその反映でもあります。
さらに、保育所に入れないなどの場合の休業期間の延長(半年)や、介護休業の回数制限の緩和も、盛り込まれています。
一方、育児・介護休業中の所得保障の引き上げは盛り込まれませんでした。検討をつよく求めた党議員団の質問に対し、厚労省は、所得保障を現行の四割から六割に引き上げるのに三百八十二億円増、五割では百九十一億円増で可能という試算(昨年実績)を出しています。
日本共産党は、だれもがとれ、使いやすい制度へ拡充を求めてゆきます。所得保障の引き上げや休業期間の延長、原職復帰の保障、中小企業への助成拡充、六カ月以上勤務のすべての人への適用、子ども休暇のいっそうの改善などが必要です。
同時に、休業の申し出や取得を理由とした解雇や雇い止め、不利益扱いを許さないよう、実効ある運用のために力をつくします。