2004年12月2日(木)「しんぶん赤旗」
こうした青年労働者の状態悪化は、旺盛なたたかうエネルギーを蓄積していることを示すものです。同時に、今日の青年労働者の意識動向にも注目すべきです。
第一に、青年労働者の知的水準はかつてなく高くなっています。高校進学率は、二〇〇三年度97・3%です。現場には大学を卒業した青年労働者も珍しくなくなりました。
第二に、いまの社会は情報社会です。インターネットでたいていの情報を得ることができます。こうした情報社会に生活していることは、青年が自分を社会との関係で自然に見るようになる条件を広げています。
第三に、青年はいつの時代も未来を志向する存在ですが、いまの青年労働者は「自己の未来に希望が持てない」状況に陥っています。内閣府「若年層の意識実態調査」でも、「日頃の生活の中で、悩みや不安を感じている」青年労働者は68・4%と七割近くにも上っています。
これらの意識動向は、青年労働者の悩みや要求を正面から受け止めてくれる労働者や組織をつよく求めているあらわれといえます。同時に、それは青年労働者が急速に成長変化する可能性を持っていることをも示しています。
重要なことは、そうした青年の可能性を引き出す経験がすでに生まれていることです。たとえば、平和運動です。原水爆禁止二〇〇四年世界大会にむけた取り組みでは、全国的に青年参加の増大という新しい動きをみせています。
青年雇用を守るこれまでにない幅広い青年の共同が始まっています。全労連青年部や民青同盟、全商連青年協、全学連、新聞労連青年女性対策部、首都圏青年ユニオンが実行委員会を結成して、十二月十二日に開催する「若者に仕事を 人間らしく働きたい 全国青年大集会」の成功をめざす青年の取り組みが職場・地域で前進しています。
労働組合運動の分野でも青年の前進が始まっています。ある自治体職場では、青年労働者が新入職員歓迎実行委員会を結成し、七割にも及ぶ新入職員を組合員に迎え入れています。歓迎行事では、「住民のために仕事がしたい」と意欲を持って自治体労働者になったばかりの新入職員にたいして、自治体が自治体でなくなるような変質が進んでいる状況を知らせ、自分たちの働き方と自治体の変質をどう考えればいいのかについて問題提起することを重視し、ともに意見を交換するなかで、組合に迎えています。
教育関連の労働組合の全国組織では、九七年以来、「青年のつどい」(全国青年組合学校)を開催してきました。九七年の参加者は八十九人でしたが、〇四年の参加者は三百四十人にもなっています。
この取り組みは、「授業づくり」「HR・クラスづくり」「父母・地域との共同」など、青年教師が日ごろの教育実践でぶつかる問題を中心にして経験を交流し、教師としてどう成長していくかが軸になっています。この全国集会で、自分の生き方と国の貧困な教育行政、教育実践のあり方、労働組合の役割を結びつけて考え始めた青年教師は、職場に戻って労働組合運動と労働組合員の拡大の先頭に立つようになっています。
こうした運動の前進方向をふまえ、青年を結集していく努力は急務といえるでしょう。
(おわり)