2004年12月1日(水)「しんぶん赤旗」
青年労働者は、資本の労働者支配の矛盾の集中点ともいえる状況に置かれています。
大企業は、年功序列型という伝統的な労使関係が崩壊した後、「成果主義」という新しい個別支配、個別管理の方法を導入しました。しかし、これは現在のような「技術革新」のもとで、個人の「成果」などはかりようがないにもかかわらず、まったく恣意(しい)的な評価で、労働者を五段階に区別し、差別支配するものです。このなかで、青年労働者にたいする評価は多くの場合、低ランクに位置づけられています。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」にもとづいて、一九九七年と二〇〇三年の名目賃金を比較すると、労働者全体の伸び率はわずかですが増加し、1・1%増となっています。ところが、青年労働者の賃金の伸び率は、十八―十九歳でマイナス0・2%、二十―二十四歳で0・6%増、二十五―二十九歳でマイナス1・8%と、全体としてマイナスになっているのです。
大企業職場では、どこも人減らし「合理化」によって、人員が削減され、要員不足が深刻化しています。そのなかで、サービス残業がまん延し、重大労働災害も続発しています。
労働時間は、事業所調査である厚生労働省「毎月勤労統計調査」と比べて、世帯調査である総務省「労働力調査」の方がより職場の実態に近いデータを得ることができます。「労働力調査」の〇三年の年間労働時間をみると、二千二百時間になります。このデータと「毎月勤労統計調査」の差をサービス残業時間と見ると、日本の労働者は実に年間三百七十二時間もサービス残業をしていることになります。サービス残業を含めると、日本の所定外労働時間は年間四百九十二時間にもなります。ヨーロッパでは考えられない長時間労働です。
全体として長時間労働が強要されるなかで、青年労働者もその例外ではなく、その強制がいっそうひどくなっているのが特徴です。
要員不足が深刻化するなかで、労働災害も激発しています。厚生労働省「労災保険給付データ及び労働者死傷病報告」によると、一度に三人以上が死傷する重大災害が二百四十九件を数え、九七年以降で最悪となっています。
電機、自動車、鉄鋼などの大企業が集中する神奈川県内での死傷者発生状況は年齢別に明らかにされています。それによれば、全産業(〇二年)の死傷者(休業四日以上)は六千七百四十八件ですが、二十歳未満と二十歳代の青年労働者の割合は、死傷者総数の23・4%に上っています。
青年労働者は、雇用不安とともに、全体の労働者のなかでも特別に過酷な労働条件の下に置かれており、資本の労働者支配の矛盾の集中点ともいえる状況に置かれているのです。このことは、労働者の切実な要求実現の先頭に青年労働者が立つ条件と可能性が広がっていることを示しています。(つづく)