2004年11月30日(火)「しんぶん赤旗」
いうまでもなく、青年労働者は、労働者階級の重要な構成要素の一つです。したがって、青年労働者の問題は、資本の全労働者に対する攻撃との関連でとらえることを避けてとおることはできません。こうした見地にたって、青年の雇用問題をはじめ、現在焦点になっているいくつかの問題について解明したいと思います。
労働者の状態悪化のなかで、とりわけ青年労働者は深刻です。そのもっとも大きな特徴は、雇用問題といえます。
日本の完全失業者は、二〇〇三年には三百五十万人となっていますが、なかでも十五―二十九歳の青年の失業者は失業者全体の三人に一人にあたる百二十二万人にも及んでいます。完全失業率も全体が5・3%なのに対して、青年労働者は8・5%と高くなっています。
また、重視すべきことは、直接生産活動にたずさわっている青年の非正規労働者が増大していることです。青年労働者はこの十年、青少年人口の減少にともなって、千四百三十五万人から千三百三十五万人へと若干減少しています。しかし、青年の非正規労働者は、二百九十三万人から四百五十八万人へと、逆に一・六倍も増えているのです。(〇二年総務省「就業構造基本調査」)
非正規の青年労働者はさまざまな雇用形態で働いています。たとえば、大企業職場のトヨタ自動車では、契約期間四カ月の期間工が一万人も働いています。そのほとんどが青年労働者です。三菱電機では、これまで女性パートが中心となってきた製品検査の職場に男性の青年労働者がパート労働者として進出しています。多くの大企業職場では、青年の派遣労働者が、製造業の生産ラインだけでなく、開発・設計部門で欠かせぬ要素になっています。
どこの企業でも非正規の青年労働者の存在抜きに現場は機能しない状況になっているにもかかわらず、非正規の青年労働者の賃金は正規労働者の賃金の五―六割程度です。身分も不安定で、景気次第で、最初に解雇されるのが非正規労働者です。
非正規の青年労働者の要求は、期間契約の継続雇用、正規労働者への採用などの雇用の安定、正規労働者との労働条件の格差是正などです。とくに、正規労働者への採用という要求は切実です。総務省「就業構造基本調査」でも、「正社員として雇われたい」とする青年労働者の割合は年を追って増加傾向にあり、〇二年には71・1%にもなっています。
青年労働者の雇用問題についての切実な要求闘争は、何よりも青年労働者の生活を守るうえで大切であるとともに、次にのべる大企業の利潤追求第一主義の「労働力流動化」政策に正面から対決するものです。それは、とりもなおさず全労働者の雇用を守る闘争の先頭に立つものといわねばなりません。
しかし、青年労働者をはじめ非正規労働者は、ほとんど未組織労働者です。日本の労働組合組織率が20%を割り込んでいる主な原因の一つは、この非正規労働者の増大にあります。パート労働者、関連事業所の労働者、自治体労働者、教職員などの未組織の組織化が部分的には進みつつありますが、全体としてはまだこれからといわねばならないのが実態です。
全労連は、未組織労働者の組織化を日本の労働運動のもっとも重要な課題と位置づけて取り組んでいますが、まさに緊急・切実な課題といえます。
深刻な青年の雇用危機は、自然に生まれたものではありません。財界・大企業の雇用政策によって意識的・計画的につくり出されたものです。
大企業は、かつて一時期、青年労働者を若干優遇しました。一九六〇年代から七〇年代初めの高度成長期の大量生産時代、「人手不足」が表面化し、青年労働者不足が表れ始めたためです。そのやり方は「同一職務同一労働」を旗印にした職務給を導入することで、中高年層の賃上げストップや賃下げを行う一方、青年労働者には若干の賃金引き上げを実施するというものです。
しかし、高度成長時代が終わり、長期不況の到来とME化、コンピューター制御生産という新しい「技術革新」が進展するもとで、そのやり方は一変します。一方で、正規労働者の大々的な人減らし「合理化」をすすめ(中高年の熟練工の首切りと新入社員の採用抑制)、他方で、正規労働者を非正規労働者に代替するという労働力流動化政策をとったのです。
財界・大企業は、激化する国際的企業競争を勝ちぬくためには、総額人件費の抑制が不可欠だとして、非正規労働者を積極的に活用しようとしています。政府もこれを援助し、労働基準法、労働者派遣法などを改悪し、非正規労働者の大々的な活用を図る仕組みがつくられたのです。
(つづく)